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スペイン式ポゼッションのさらに先へ。
“未来のサッカー”でドイツがW杯制す。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/07/14 12:15

スペイン式ポゼッションのさらに先へ。“未来のサッカー”でドイツがW杯制す。<Number Web> photograph by Getty Images

2002年は準優勝、自国開催の2006年は3位、2010年も3位。トップクラスの実力を持ちながらあと一歩届かなかった栄冠を、南米の地で欧州勢として初めて手にしたドイツ。この勢いはしばらく止まりそうにない。

 最後に笑ったのはドイツだった。

 ワールドカップ制覇は1990年イタリア大会以来、実に24年ぶり。通算4度目のタイトルになる。南米開催の大会における欧州勢の優勝はこれが初めてのことだ。

 準決勝ではホスト国のブラジルを7-1という空前絶後のスコアで破るなど、ワールドカップの歴史を大きく書き換えている。さらに大会を通じて、近未来のロールモデルとなり得るフットボールを展開したことからも、今回の優勝は非常に意義深いものかもしれない。

 攻めるドイツ、守るアルゼンチン。

 ファイナルの図式は実に対照的だった。ドイツが決勝までの6試合で大会最多の17ゴールを記録する攻撃力が売り物であるのに対し、アルゼンチンは6試合のうち実に4試合が無失点という守備力が持ち味だ。

 さらにドイツがポゼッションプレーを軸に据え、アルゼンチンはダイレクトプレーから勝機を探る。ドイツのパスワークとアルゼンチンのドリブルワーク、組織力を前面に押し出すドイツと個の力に依存するアルゼンチン――。あらゆる点でカラーの異なる2チームが相争った。

シュールレとゲッツェ、途中出場の2人が結果を残した。

 90分を終えてスコアは0-0。決勝は互いに持ち味を出し合った末に3大会連続の延長へともつれ込んだ。スコアが動いたのは113分。左サイドで球を得たシュールレがドリブルで縦を突き、その折り返しをニアで拾ったゲッツェが巧みなトラップからフィニッシュに持ち込んでゴールネットを揺らした。この日のスタメンから外れた2人の男が、途中出場によって結果を残したわけだ。

 とっておきのジョーカーを2枚もそろえるドイツの選手層の厚さが際立った。逆にアルゼンチンは途中出場のアグエロ、パラシオの両アタッカーが精彩を欠いている。準々決勝で負傷したディマリアの不在も大きく響いていた。以心伝心の相棒を失って以降、偉才メッシの調子が下降線をたどっている。負傷明けのアグエロとのホットラインも「不通」のまま。それでも何度か見せ場をつくるあたりがいかにもメッシらしいが、最後まで決定的な仕事ができずに終わった。

【次ページ】 様々なトラブルに対応しきったレーブのベンチワーク。

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