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チアゴ・シウバが語る母国でのW杯。
「僕はネイマールのために死ねる」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2014/06/12 10:40

チアゴ・シウバが語る母国でのW杯。「僕はネイマールのために死ねる」<Number Web> photograph by Getty Images

チームのあらゆる選手からの尊敬を受けながらも、親しみやすさも兼ね備えるチアゴ・シウバは、クラブでも代表でもキャプテンを務める。

「僕は勝利のシナリオしか思い描いていない」

――スコラーリは稀代のモチベーターとして名を馳せていますが、具体的にどこが凄いのでしょうか?

「普段の彼はとてももの静かだけれども、試合前のミーティングの時間になると本能が目覚めるんだ。あらゆる言葉を駆使して、選手のモチベーションを喚起する。それこそが彼で、僕らの脳の中に入り込んで、気持ちを強く持てる言葉を探しているだろうって、僕ら選手たちは話しているよ。

 彼の言葉を聞いた後では、チームメイトのために人生のすべてを捧げてもいい気持ちになって、僕らはピッチに入る。彼は決して僕らに下を向かせない。常に前向きの気持ちにさせる。凄い監督だと思うよ」

――ブラジルにとってこのワールドカップは、天国に到達するか地獄に堕ちるかのどちらかしかないわけですね。

「(微笑みながら)すべての可能性があるけど、僕は勝利のシナリオしか思い描いていない。もちろん少し懐疑的になる瞬間もあるだろう。サッカーとはそういうもので、試合に勝つ日もあれば負ける日もある。でも今は、勝たねばならないときなんだ。ワールドカップに優勝することで、僕らの国をめぐる状況も改善される契機が生まれるのだから」

「パリでは人生を楽しむことができないからね」

――さまざまな問題を抱えながらも、あなた方ブラジル国民はヨーロッパ人よりも陽気で楽天的であるように見えます。その通りなのでしょうか?

「たしかにブラジル人を見ていると、深刻な問題など存在しないようだ。常に微笑みを浮かべて、人生を楽しんでいる。それこそブラジル人の性格といえる。どんなに苦しい状況でも、ブラジル人は心のどこかに必ず喜びを隠し持っている。喜びこそは人生を安らかにし、人生に味わいを与えるポジティブなエネルギーだからね。喜びがあればチャンスも生まれる。誰だって頭を垂れてつらい顔をした人間よりも、君をほほ笑ませる人間に近づきたいと思うだろう。

 個人的にはブラジルに戻るとリラックスできる。パリでは試合と練習に明け暮れて、人生を楽しむことができないからね。母国の土を踏むたびに、まずビーチに行きたいと思う。照りつける太陽のもとで、心ゆくまでフットバレーを楽しみたいんだ」

【次ページ】 「ネイマールのためなら、躊躇わずに死ねる」

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