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イビチャ・オシム、日本への提言。
「メディアも選手も監督も準備せよ」 

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イビチャ・オシム

イビチャ・オシムIvica Osim

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/05/12 16:30

イビチャ・オシム、日本への提言。「メディアも選手も監督も準備せよ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

オシムは内田について「なるようになるだろう」と語っていたが……。5月12日、自身2度目のW杯代表メンバー入りを決めた。

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今回はイビチャ・オシムの「オシム問答」。日本代表への言及が多く、
読者からの反響も非常に大きかった4月25日配信分です。
オシムは現在の日本をどう見ているのか、随所にうかがわせてくれます。
聞き手の田村修一氏とのやり取りも含め、ぜひお楽しみください。

〈読者の皆さまへ〉

 ワールドカップが近づくにつれて、オシムの周辺が慌ただしくなるのはいつものことではありますが、今回はボスニア・ヘルツェゴビナが初出場ということもあり、日本からの取材以上に地元ボスニアのメディアの取材や協会関係の仕事(直接彼が関わっていないにせよ)などでかなり慌ただしい様子です。

 さて、「今週のオシム問答」ですが、ワールドカップまで2カ月を切ったこの時期であるからこそ、先に進むのではなく立ち止まるべきであると、どう過ごすべきかを語ります。

 続く「オシムとの対話」は、今週月曜日(4月21日)の電話インタビューの掲載です。5月12日の日本代表選手リスト発表を前に、どう準備を進め、どんな基準で選手を選ぶべきであるか、オシムが自らの経験を踏まえてアドバイスを送っています。

「オシムの眼に映ったベルギーvs.日本」の第7回は、同時期におこなわれたヨーロッパと世界のプレーオフとその結果について、オシムが分析しています。

 最後の「オシムの教え」は、前回に続き2011年5月1日のインタビューからの抜粋です。レストランに移動しての会話は、読者からの質問にオシムが集中的に答えるものに変わっていますが、サッカーにかかわる、かかわらないに関係なしに、それぞれの言葉に彼独特の分析と含蓄の深さがあるのがよく分かると思います。

(田村修一)


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 【1】 〈今週の「オシム問答」〉
        「一歩退いて状況を冷静に、客観的に把握しようと努めてほしい」

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(日本代表はこの4年間で)すでに行けるところまで行き着いたのだから、これ以上先には進めない。これからワールドカップまでの短い時間のなかで、急激な進歩は期待できない。今は先に進むときではなく、しっかりと地に足をつけてプレーすべきときだ。

イビチャ・オシム
1941年5月6日、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)生まれ。ユーゴ代表を率い、'90年イタリアW杯ベスト8、'03年ジェフユナイテッド市原(当時)の監督就任。'06年7月から'07年11月まで日本代表監督を務めた。

 そして誰もがそのときを待っている。選手も、またサポーターも、誰もが(ブラジルの)ピッチに飛び出してプレーを始める瞬間を待っている。その日を待ちながら、毎日、新聞を読みテレビを見ては思いを馳せている。記事を読みながら、これは違うと考える。どこかおかしいと。

 選手もそうだ。どうしてこうなるのか、メディアはこんな見方をするのかと考える。そしてジャーナリストはジャーナリストで、自分の主張を展開して世論を導こうとする。この選手は代表に必要ないとか、この選手を入れるべきであるとか。それが選考に直接的な影響を与えることもある。

 これから大会が始まるまでの間は、誰もが多かれ少なかれファナティックになる。(5回連続出場の)日本は初出場のボスニアほどではないかも知れないが、それは程度の違いに過ぎないだろう。

 だからこそ慎重にならねばならない。一歩退いて状況を冷静に、客観的に把握しようと努める。すでに何度も繰り返し述べてきたことだが、私はこの言葉をもう一度、日本の皆さんに贈りたい。

【次ページ】 「しっかりと準備せねばならない。メディアも選手も監督も」

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