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柔道女子48kgの“新星”、
18歳の近藤亜美に注目。
~谷、福見、浅見超えを目指せ~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byShino Seki

posted2014/05/02 10:30

試合4日前に入社したばかりの「新入社員」。先輩の山岸から得意技の払腰で有効を奪った。

試合4日前に入社したばかりの「新入社員」。先輩の山岸から得意技の払腰で有効を奪った。

 8月にロシア・チェリャビンスクで柔道の世界選手権が行なわれる。

 同大会の日本代表の中でも注目を集めているのが48kg級で選ばれた近藤亜美だ。

 高校を卒業して三井住友海上に入社したばかりの近藤は、4月5日、全日本選抜体重別選手権に初出場で初優勝を遂げたのが決め手となって代表に選ばれた。畳の上では表彰式でも表情を緩めなかったが、畳を降りると一変。

「1試合1試合をきちんとやろうと思っていたら、優勝していた感じです」

 満面の笑みを浮かべた。

「(他の選手の)胸を借りるつもりでいました」という言葉からも、無欲の勝利だったことがうかがえる。だが、このところの成長は目を見張るものがある。昨年は高校総体優勝など好成績を残し続け、11月のグランドスラム東京ではロンドン五輪金メダリストと昨年の世界選手権チャンピオンを破って優勝したのだ。

「48kg級は近藤と言われるようになりたいです」

 躍進を支えているのは思い切りのよさである。選抜体重別での決勝が象徴的だった。この階級の実力者であり「憧れていました」という会社の先輩、山岸絵美を相手に、立ち上がりから臆せず仕掛けると、開始23秒で有効を奪い勝利したのだ。その姿勢は高校総体決勝でも、グランドスラム東京でも一貫していた。どれだけ力があっても、大会で出し切れるかどうかが重要だ。選手たちが課題とするところでもあるが、近藤の慎重になり過ぎない、試合で力を出せるところが好成績につながっている。女子日本代表の南條充寿監督も笑顔だった。

「試合に強いタイプですね。いちばんの収穫です」

 48kg級と言えば、谷亮子をはじめ、福見友子、山岸、今回は怪我で欠場した浅見八瑠奈などそうそうたる選手が数々の国際大会で結果を残してきた。日本女子の牙城とも言える階級である。

「自分はぽっと出の選手」

 と言う近藤だが、その階級にいることを自覚するからこそ、こう結んだ。

「48kg級は近藤と言われるようになりたいです」

 初めて臨む大舞台でも、そして注目されるようになった今後も、思い切りのよさを貫けるかどうかが、鍵を握る。

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