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W杯優勝国は「すでに決まっている」!
ザックジャパンを阻む第2の法則は? 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2014/04/21 10:30

W杯優勝国は「すでに決まっている」!ザックジャパンを阻む第2の法則は?<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

アルベルト・ザッケローニ監督はいわずと知れたイタリア人。ワールドカップの法則を適用すれば、優勝は不可能ということに。この憎き法則が破れる日は訪れるのか。

2人の伝説的名将も超えられなかった第2の法則。

【法則2 外国人監督はタブー】

 冒頭にある「ザック」ジャパンのカッコ内が『法』に背くタブーというお話だ。何やらアルベルト・ザッケローニ監督への「ダメだし」みたいに聞こえるが、真意は違う。外国人監督の率いる国はワールドカップで優勝できない――というのが本筋である。

 歴代優勝国のうち、パスポートの異なる指揮官が束ねていた国はただの一つもない。いやファイナルへ進むことすら至難の業なのだ。過去の大会において決勝の舞台に導いた異国の監督はわずか2人。せっかくなので、ここに紹介しておきたい。

ジョージ・レイナー(イングランド人)  → スウェーデン代表監督(1958年大会)
エルンスト・ハッペル(オーストリア人) → オランダ代表監督(1978年大会)

 いずれも代表の命運を託した国にとっては「宣教師」のような存在だったように思う。レイナーは当時の「サッカー先進国」であるイングランドの高名な指導者だった。一方のハッペルはサッカー史の教科書に肖像画が出てきそうな名将中の名将である。とりわけ「1960年代のオランダにプレッシング戦法を持ち込んだ」逸話と「2つの異なるクラブでUEFAチャンピオンズカップを制した史上初の監督」というくだりは、サッカー史の試験によく出るので要暗記か(?)

32年越しでオランダが喫した2度の不運。

 もう少しで優勝に手が届くところだったのはハッペルの方である。決勝の後半ロスタイムに、ホスト国アルゼンチンの息の根を止める決定機をつかんでいた。1本のロングパスからエースのロブ・レンセンブリンクが完全にフリーで抜け出し、スタンドの大観衆が凍りついた次の瞬間、シュートは惜しくもポストを叩いた。

 最大のチャンスを逃し延長の末に敗れるシナリオがよもや32年後の南アフリカ大会でも繰り返されるとは……。しかもGKとの1対1を決めそこなったアリエン・ロッベンは先代と同じレフティーというオマケ付き。つくづくオランダという国には「運」がない。

【次ページ】 クラブシーンでは、監督の国際化も顕著に。

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