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W杯優勝国は「すでに決まっている」!
ザックジャパンを阻む第2の法則は? 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2014/04/21 10:30

W杯優勝国は「すでに決まっている」!ザックジャパンを阻む第2の法則は?<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

アルベルト・ザッケローニ監督はいわずと知れたイタリア人。ワールドカップの法則を適用すれば、優勝は不可能ということに。この憎き法則が破れる日は訪れるのか。

クラブシーンでは、監督の国際化も顕著に。

 いや本題はオランダの悲運ではなく、外国人監督の悪夢である。なぜ優勝できないのか。実は……何の不思議もありゃしない。ハナから少ないのである。

 外国人の指揮官が。1990年代以前の大会では少数派だった。とはいえその多くがサッカー大国というなら話は違ったかもしれない。だが、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、イタリアといった超大国は「同胞」以外に代表の命運を託したことが一度もないのだ。優勝しにくいわけである。現代のクラブシーンとは極めて対照的と言えるかもしれない。そこで今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの4強を例に引いてみる。

ジョゼップ・グアルディオラ(スペイン)  → バイエルン(ドイツ)
カルロ・アンチェロッティ(イタリア) → レアル・マドリー(スペイン)
ジョゼ・モウリーニョ(ポルトガル)  → チェルシー(イングランド)
ディエゴ・シメオネ(アルゼンチン)  → アトレティコ・マドリー(スペイン)

 1995年のボスマン判決以降、一気にグローバル化が加速したヨーロッパ市場では「多国籍軍」がメジャークラブのデフォルトとなり、監督人事も「国籍より手腕」に拍車がかかった。商業主義による富の偏在も際立つようになり、金満クラブは選手ばかりか「やり手監督」への投資にも積極的になった。

代表でも外国人監督が増えてはいるが……。

 この流れはいまや代表市場にも押し寄せつつある。ゼロ年代に入ってサッカーの母国イングランドまでがスウェーデン人のスベン・ゴラン・エリクソンやイタリア人のファビオ・カペッロといった他国の「軍師」を三顧の礼で迎えている。ちなみに、ワールドカップの出場枠が「32」に拡大された1998年フランス大会以降、外国人監督を擁する出場国の数は次のとおりだ。

1998年大会 → 9カ国(最高位:ベスト8/デンマーク=ボ・ヨハンソン監督、ほか2カ国)
2002年大会 → 8カ国(最高位:ベスト4/韓国=フース・ヒディンク監督)
2006年大会 → 15カ国(最高位:ベスト4/ポルトガル=ルイス・フェリペ・スコラーリ監督)
2010年大会 → 12カ国(最高位:ベスト8/ガーナ=ミロバン・ライェバッチ監督、ほか1カ国)

 多少の浮き沈みはあるものの、基本的には増加傾向にあるとみていい。ただし――カッコ内をよくご覧いただきたい。異国の指導者を擁して最高成績を収めたのは、いずれも「ダークホース」の域を出ない中堅国ばかりである。確かに数は増えたが、優勝へのハードルは依然として高いままだ。

【次ページ】 ブラジル大会で、外国人監督のタブーに触れる14カ国。

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