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「マンガのような選手を作らないと」
大谷、今宮が体現する“非現実”。  

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/04/10 10:40

「マンガのような選手を作らないと」大谷、今宮が体現する“非現実”。 <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年自身初のゴールデングラブを獲得するとともに、パ・リーグのシーズン犠打記録を更新する62犠打を達成した今宮健太。ショートで2番、まさに「小兵の生きる道」を体現する選手だ。

 去年の暮れ、ファイターズの栗山英樹監督に話を聞いた時、印象に残った言葉があった。

「ぼくはマンガのような選手を作らないとプロ野球じゃないと思ってる」

 そして、昨シーズン24連勝して1度も負けなかった田中将大を例にあげた。

「田中なんてマンガですよね。いや、マンガでああいう話を描いたら、かえってふざけるなってことになるかもしれない」

 マンガに出てくるようなわかりやすいキャラクターといった話ではない。ほんとうにこんなやつが地上にいるのかと自問したくなるような特別な存在。栗山さんのいうマンガみたいな選手とはそういうものだろう。

 去年、二刀流が話題になった大谷翔平は、マンガみたいな選手になる可能性を持っている。それはだれもが認めるところだ。しかし、新人の去年はマンガの域には遠かった。素質の片鱗は見えたが、マンガどころか、十分な戦力ともいえなかった。

野手練習3日で、14打数5安打の大活躍。

 ところが今年は開幕から野手として先発出場し、3試合で14打数5安打と打ちまくってチームの勝ち越しに貢献した。ファイターズのキャンプを取材した人によると、キャンプ中に大谷が丸1日野手練習に費やした日はわずか3日間だけだったそうだ。今シーズンは先発ローテーションでの登板が予定されていて、投手に重心を置いている。大した練習もしていないはずなのに野手としてこの活躍である。これはいよいよマンガ化現象がはじまったかと思い、投手として初先発するホークス戦を見に出かけた。強力なホークスの打線を相手に2ケタ三振を奪ったり、完封勝ちでもしたらそれこそ本格的なマンガだ。

 しかし現実は厳しい。1回いきなり先頭打者に初球を二塁打された後、3本の安打を浴びて2失点。三振をふたつ奪ったが、苦しい立ち上がりになってしまった。

 2回、3回はなんとか点を与えずに切り抜けたが、ときどき150kmを超えるストレートはあるものの、全体にボールがばらつきがちで、マンガ的快投には程遠い。3回にはどこか悪いようで一度ベンチに下がって治療を受けてマウンドに戻った。結局、この日は3回を投げ終えて交代。あとで聞くと、右足のふくらはぎがつったので、大事を取って降板したのだという。試合前から鼻水が出て、インフルエンザの疑いもかけられたほどで、コンディションが悪かったのは間違いない。

【次ページ】 今宮健太の、あまりにもマンガ的な捕球&送球。

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