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“プロ野球新人王の法則”を発見!?
2011年度は斎藤と澤村が大本命か。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKYODO
posted2011/01/14 10:30
巨人が一本釣りした澤村は、実力的にも過去の傾向からみても、セ・リーグ新人王の最右翼と言えるだろう
トラブルが続いた菊池雄星は今季も大化けできない!?
【C】の「 ソフトバンク、日本ハムから6人」と、【D】の「左腕とリリーフタイプが選出される」の両方の条件をちょうど満たしているのが乾(日本ハム)である。左腕から投じる縦・横2種類のスライダーは乾の生命線とも言えるボールで、とくに縦のスライダーはわかっていても打てないボール。世界大学野球選手権では初戦の韓国戦に2番手で登板し、2回投げて5奪三振。このうち4つの決め球がスライダーだった。キューバ戦、アメリカ戦でも投げていて、キューバ戦は6人の打者に対し、3安打、1死球と打ち込まれたが、強打者・5番のセスペデスをスライダーで空振りの三振に打ち取り、実力の片鱗を見せている。
さらに【D】の条件で言えば、左腕の塩見(楽天)も十分候補に入る。ストレートに目を見張るような速さはないが、プロで再評価されているカーブを持っている。緩急、左右の攻めに加え、高低の攻めもできるところが長所だろう。
大石(西武)はリリーフ起用なら抑えがいないチーム事情から考えても本命と思っていたが、渡辺久信監督は本気で先発起用を考えているようなので除外した。4年間、リリーフ一筋できた投手がプロ1年目、先発で結果を出せるほど甘い世界だとは思わない。
在籍2年以上の選手では中村(日本ハム)、菊池保則(楽天)が候補になる。もう1人の菊池雄星(西武)は1年目、左肩故障とコーチとのトラブルで二軍登板2試合(8イニング)にとどまっているので大化けは考えづらい。
となると、やはり本命は斎藤佑樹ということに。法則の【C】に当てはまることは言うまでも無く、得意とする縦のスライダーを軸にキレのある変化球が魅力だ。またピッチングにおける配球の妙もあり、内角主体に厳しく攻める傾向のある鶴岡慎也とバッテリーを組ませると、ますます面白くなるはず。
以上のことからパ・リーグの新人王は次のように予想した。
<本命> 斎藤佑樹(日本ハム)
<対抗> 乾真大(日本ハム)
<伏兵> 小林敦(ロッテ)
中村勝(日本ハム)
塩見貴洋(楽天)