セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セードルフ新監督の初陣で白星発進。
本田はミラン待望の“物言うリーダー”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byItaly Photo Press/AFLO
posted2014/01/20 12:40
バロテッリと肩を並べ、チームの“リーダー”として振る舞いつつある本田圭佑。先日インテルで長友がキャプテンマークを巻いたことが話題になったが、本田がそうなる日も遠くはないかもしれない。
初アシストのチャンスはあった。
惜しいシュートもあった。
新監督の新布陣による初采配、という条件を考えれば、最終的に得た勝ち点3という結果だけで十分かもしれない。しかし、本田圭佑が納得するはずはなかった。
セリエAの20節ベローナ戦で、本田はリーグ戦初の先発出場を果たした。
本田のポジションは、セードルフ監督が初陣に用いた4-2-3-1のトップ下。雨にたたられながらも、右にMFカカ、左にFWロビーニョを従えた2列目の中央で、彼らとポジションを入れ替えながら、シンプルにボールを繋ぎ、攻撃を組み立てようとした。
9分には早速、ゴール左前へ飛び込むカカの頭に、本田は絶妙のクロスを合わせた。20分には、左サイドでシュートポジションに入るFWバロテッリの足元へパスを届けた。リターンパスの応酬で、カカと相手エリア正面に迫った場面もあった。
攻撃志向のセードルフから新戦術を与えられたチームが見せたサッカーは、不毛にも見えたアッレグリ時代のそれとは全くの別物だった。
最終ラインはセンターサークルに限りなく近づき、ボールを失っても即座にプレスをかけようとした。本田、ロビーニョ、カカ、そしてバロテッリ。この4人が、敵陣へたたみかける様は新鮮そのものだった。
前日練習では、新指揮官と話しこむ本田の姿が。
「サッカーをする喜びと、プレーする楽しみ」を強調する新指揮官の“つないで攻めるサッカー”に、本田と周囲が共感し、適応し始めた。入団後からこれまでの2試合と比べて、本田にはボールが集まっていた。明らかに、新10番への信頼は増している。
試合前日の18日、異例にもプレス公開された練習を見て驚かずにはいられなかった。
取材を許可されたのは、攻撃練習の15分間のみ。セードルフはすでに4-2-3-1で初陣に臨むことを明言しており、本田は先発組のビブスを着込んでいた。
一癖あるDFメクセスから若手GKガブリエウまで、本田の周りには多くの選手が集まっていた。練習メニューが切り替わる時、本田は新指揮官を捕まえると、身振り手振りでみっちり話し込んでいた。
本田はチームを掌握しつつある。いい意味で、仕切ろうとしている。