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ロッテ1位、石川歩は田中の同級生。
7年遅れで始まる「ウサギとカメ」。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/01/16 10:45

ロッテ1位、石川歩は田中の同級生。7年遅れで始まる「ウサギとカメ」。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

新人合同自主トレに参加した石川歩。新人とはいえ大卒、社会人経由の25歳。1位指名での入団に応える準備は十分にできているはずだ。

 あるスカウトが、今年のルーキーのイチ押しは、ドラフト1位でロッテに入団した石川歩だと話していた。そのスカウトは昨年、シーズン開幕前から楽天の則本昂大の活躍を予言していただけに言葉に信憑性がある。

 石川の経歴をネットで調べ、小さく驚いた。あの田中将大と同年代なのだ。ということは広島の前田健太、日ハムの斎藤佑樹、巨人の坂本勇人らとも同級生ということになる。

 高卒でプロの世界に入った田中らは、すでに7年間のキャリアがある。田中は国内ではできることをやり尽し、これからメジャーに挑戦しようとしている。その一方で、大卒の斎藤は3年経過し、来年が勝負の年となるかもしれない。また、高卒で入団し、すでにユニフォームを脱いだ選手も少なくない。

 そんな中、石川は今季、ようやくプロ1年目をむかえるわけだ。

 石川は富山県の滑川高校の出身だ。本格派右腕としてそれなりに注目を集めたが、甲子園経験はない。その後、中部大に進学。4年春に防御率リーグ1位に輝いている。高校3年間、大学4年間とも、スポットライトを浴びた経験はほとんどない。

 大学時代にスカウトの評価を高めたが、志望届を出さずに東京ガスへ入社する。石川の名前がスカウトのリスト上位に上がるようになったのは、150キロをマークした社会人1年目からだ。

 しかし、指名解禁となる2年目は指名漏れ。昨季は社会人で最優秀防御率賞を獲得。また、10月の東アジア競技大会では4試合連続で最終回に登板し優勝に貢献したことで、社会人選手で唯一、ロッテ、巨人がドラフト1位で競合するまでの評価を得た。

「社会人はプロに行けなかった人が行くところだと……」

 社会人で成績を残すことは容易ではない。高校時代、希望さえすれば指名確実と言われた選手でも、大学、社会人で伸びず、結局プロに行けなかった選手は数知れない。

 そんな中のひとりで、高卒で社会人に進んだある投手の話だ。

「社会人はプロに行けなかった人が行くところだと思っていたんですけど、とんでもなかったですね。入ってすぐに自信喪失になった。なんでこの選手がプロ行けないの、みたいな選手がいっぱいいた。逆に、プロの二軍と練習試合とかすると、なんでこのレベルの選手がプロにいるんだろうって不思議に思うこともあった。そんな中、社会人からプロに行くには年一回の都市対抗で活躍しないとダメ。そういう意味では、高校よりもはるかに厳しい。だから社会人からプロに行けた人というのは、実力ももちろんですが、勝負運も持っている人。大化けすることはないかもしれませんが、確実にプロでも力を出せる」

【次ページ】 済美・安楽智大が語る、意識の差。

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