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マドリーが過激派サポーターを追放。
ゴール裏は、政治闘争の場ではない! 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byGetty Images

posted2013/12/12 10:30

マドリーが過激派サポーターを追放。ゴール裏は、政治闘争の場ではない!<Number Web> photograph by Getty Images

サンティアゴ・ベルナベウの南スタンドに陣取る「ウルトラス・スル」。しかし彼らが排除されたことによって、試合中の応援の掛け声はほとんど聞かれなくなった。

ベルナベウは政治的プロパガンダの場ではない。

 単なる反暴力。内輪もめで弱体化した“敵”を一気に殲滅するため。

 理由は幾つか想像できるが、可能性が高そうなのは、より大きな危機――ベルナベウが政治的プロパガンダの場と化すことを回避するためである。

 スペインの過激派サポーター集団はほとんどが政治的立場を明確にしており、ウルトラス・スルなどの「極右」、ボイショス・ノイスなどの「地方民族主義」、セルターラスらの「極左」のどれかに属する。

 ウルトラス・スルはガチガチの右寄りなので基本的にメンバー全員がファシズムの信奉者。前リーダーなど独ボンでナチスのシンボルマークを配布して逮捕された過去を持つ。

 ところが身体中にナチス絡みのタトゥーを入れている新リーダーはそんな前任者を「甘い」とし、クーデターを起こした。彼の夢は、ウルトラス・スルへの潜入取材経験を持つジャーナリストによると、政治的理想――白人による国家社会主義――の実現であってマドリーの勝利ではない。事実、彼自身マドリーではなくアトレティコのファンであること、加えてサッカーには関心がないことを認めている。

 これまでにも味方の黒人選手に罵詈雑言を浴びせるメンバーがいたウルトラス・スルがそんな人物に率いられたら、いったいどうなる?

 ペレスの英断は高く評価されるべきだろう。

 ただ問題は、ウルトラス・スルには他に250人、個人でシーズンシートを買っているメンバーがいることだ。彼らのパスは当面無効化できない。

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