Jリーグ観察記BACK NUMBER
ザッケローニ代表監督も問題視。
プレッシングの弱いJは変われるか?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/12/19 08:00
Jリーグについて語るザッケローニ日本代表監督。J1だけでなくJ2の試合も視察に訪れている
セレッソのクルピ監督は「筋トレを重視せよ」と主張。
実はJリーグの外国人監督のなかに、日本サッカーのフィジカル軽視の傾向を問題視している監督がいる。セレッソ大阪のレビー・クルピ監督だ。
クルピ監督は、こう主張する。
「今、日本には18歳から20歳くらいまでの年代に、本当に優秀な選手がたくさん育っている。J1とJ2を見れば、それは明らかです。ただし、成長のスピードをさらに速めるためには、もっと筋トレを重視しなければいけません。もちろん筋肉の質は人によって異なるので、選手に応じたメニューを考えなければいけませんが」
彼はバレーの話を引き合いに出した。
「かつて日本のバレーは世界一でしたが、その後、他国に追い抜かれてしまいました。日本がフィジカルを軽視したことが、その理由だと私は考えています。今、日本サッカーも同じ道を歩み始めているのではないでしょうか。フィジカルはサッカーの中で一番重要な要素とは言えませんが、必ず取り組まなければいけない要素でもあります」
香川がブンデスに適応できたのも過酷な筋トレの成果。
日本のサッカー選手は、もっと筋力を鍛えるべき――。
クルピ監督はその考えをセレッソでしっかり実践している。2007年の就任以来、長期的なプランでフィジカルトレーニングを行い、特に若手たちに筋力をつけさせてきた。香川真司がドルトムントに移籍してすぐにドイツサッカーに適応できたのも、セレッソでフィジカルを鍛えていたからだろう。
クルピ監督は嬉しそうに言った。
「うちの若手を見てください。みんなすごくいい体をしている。特に永井龍。ユニフォームを脱いだら、みなさん驚くと思いますよ(笑)。彼はスピードもパワーも兼ねそなえている」
日本サッカーの一番の武器はテクニックだろう。しかし、その長所をより伸ばすためには、同時に短所を埋める作業も必要だ。
ザッケローニ監督の母国イタリアは、ヨーロッパの中でも特にフィジカルトレーニングに力を入れている国だ。ザッケローニ監督の就任を機に、日本サッカーはあらためてフィジカル向上に取り組んではどうだろうか。