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右にメッシ、左にネイマールの新布陣。
クラシコに見たバルサの“対策”潰し。 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2013/10/28 12:40

右にメッシ、左にネイマールの新布陣。クラシコに見たバルサの“対策”潰し。<Number Web> photograph by AFLO

移籍前には懐疑論もありながら、バルセロナに着実にフィットし新たな攻撃の形を生み出しつつあるネイマール。メッシとの両翼を止める術はあるのか。

 ネイマール対ベイルのクラシコ――。

 10月26日、今季初めての2強対決を前に、スペイン国内は、ふたりの新顔の対決を煽っていた。

 過去数年間、バルサ対マドリーとは「メッシ対ロナウド」と捉えられていた。各紙の1面にはふたりの顔が溢れ、テレビにはふたりのプレーが繰り返し流された。

 しかし今回のクラシコの顔はネイマールとベイル。どちらが活躍するのか――。この対決は、決戦の行方を決定づけることになった。

 主審の笛が鳴り、バルセロナの選手がピッチの上に散らばる。カンプノウの観客はあることに驚かされた。それがメッシのポジションだ。

 グアルディオラが就任して以降、メッシのポジションはCFと決まっていた。ライカールト時代の右ウイングから、グアルディオラは「よりゴールに近い位置でプレーさせる」ためにポジションを動かし、メッシはCFへと変貌を遂げた。『虚構の9番』として、最前線にいながらも時にポジションを下げ、中盤の組み立てに加わる新しいスタイルは、近年のバルサの象徴でもあった。

メッシの右ウイング起用で輝いたネイマール。

 しかし今回のクラシコで、メッシに与えられたのは右ウイングだった。左サイドにはネイマールが大きく開き、中央にはセスク。右サイドからゴールへと切れ込んでいくメッシの姿は、ファンにライカールトの時代を思い起こさせた。

 この、過去への回帰とも言える斬新な策によってより輝きが増したのが、ネイマールである。

 左サイドに開き、イニエスタやシャビとパス交換を繰り返し、ボールを受けては中央へと切れ込む。普段は中央に陣取るメッシとプレーエリアがかぶるため、やや消極的なプレーも見えていたが、この日は自らが試合を決めるという、強い意志のようなものが感じられた。

 先制点も彼の右足から生まれる。前半19分、イニエスタのパスをエリア内で受けたネイマールは、ファーサイドに丁寧にシュート。崩しがメッシに頼りがちなバルサに、新しい形を呼び込んだ得点でもあった。

【次ページ】 空振りしたマドリーの「メッシ対策」。

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