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女子カーリング日本代表、
北海道銀行の「確かな歩み」。
~ソチを目指す小笠原歩の求心力~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byJun Tsukida

posted2013/10/07 06:00

女子カーリング日本代表、北海道銀行の「確かな歩み」。~ソチを目指す小笠原歩の求心力~<Number Web> photograph by Jun Tsukida

代表決定戦を制し、笑顔を見せるフォルティウス(左端が小笠原)。

 3年分の涙と笑顔があふれた。

 9月17日、ソチ五輪カーリング最終予選に臨む女子の日本代表決定戦を制したのは、北海道銀行フォルティウスだった。決勝は予選を1位で通過したフォルティウスと中部電力との対戦。中部電力はこの3年、日本代表として国際大会に出場し、今年2月の日本選手権でも予選こそフォルティウスに敗れたものの決勝では9-4と大差で下している。中部電力が実力は上、有利と見る関係者は少なくなかった。しかし、勝利したのはフォルティウスだった。

 何がこの結果をもたらしたか。それはチームワークのレベルだった。

 象徴的な場面がある。予選1位通過後の記者会見で、スキップ小笠原(旧姓小野寺)歩は激しい口調で出席者を驚かせた。

信頼関係があるからこそ「世界に勝てない」と口にした。

「このレベルでは世界に勝てない。みんな、できる力は持っているのにどうして見せられないのか」

 決勝へ気を引き締めるレベルではなかった。「ここで言って大丈夫なの?」と心配するメディアもいたほどだった。どの競技であれ、メディアへのそうした発言は不協和音につながるから忌避する。だが、フォルティウスはそうではなかった。チーム内でそれだけの信頼関係を築いていたからだ。ひとつは小笠原への皆の信頼。ソルトレイクシティ、トリノと2度のオリンピックに小笠原とともに出場した船山(旧姓林)弓枝は言う。

「ふだんからみんなに厳しいけれどそれ以上に自分に厳しくやっている。やっぱりリーダーなんです」

 小笠原も根本にチームメイトへの信頼を抱いていた。実は日本選手権予選の勝利に手ごたえを得ていた。

「決勝はただ自爆しただけなので」

 本来の力を出せばいいのに出せていない。力を引き出したいとの思いからあえて公の場で発した。願いどおり、決勝では選手たちのプレーが一変したのである。

 一方、敗れた中部電力のキャプテン市川美余は涙とともに語った。

【次ページ】 「他の誰よりも一番近い」時間を過ごしてきた成果。

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