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充実の白鵬と窮地の魁皇、
両力士が輝いた秋場所。
~69連勝へのカウントダウン~ 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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photograph byKYODO

posted2010/10/24 08:00

稀勢の里を左を差して寄り切った魁皇(左)。取組後には「苦しかった」と本音も漏らした

稀勢の里を左を差して寄り切った魁皇(左)。取組後には「苦しかった」と本音も漏らした

 横綱白鵬は一体どこまで連勝街道を突き進むのか。秋場所7日目、千代の富士の53連勝を抜き去り、史上2位の記録を樹立。圧倒的な力の違いを見せつけた白鵬は、史上初の4場所連続全勝優勝を達成し、連勝記録を62に伸ばした。白鵬が強すぎるのか、それとも対戦力士達が研究不足・無策なのか。余裕綽々の横綱相撲には、微塵の隙も無かった。いよいよ来場所には双葉山の不滅の大記録69連勝へのカウントダウンが始まる。その道が平坦ではなくいばらであるほど注目は集まり、記録は輝きを増す。かかる重圧は、その相撲人生で最大のものとなるに違いない。栄えある対戦相手に選ばれた力士たちには、鬼気迫る刺客として挑んで欲しい。土俵に命を懸ける殺気だった取組こそが、歴史を作るに相応しい。

把瑠都と日馬富士戦で魁皇が見せた「奇跡」の逆転劇。

 白鵬が充実の内容で記録を伸ばした一方、心の強さで引退の危機を脱したのが大関魁皇だ。名古屋場所、あと2勝で勝ち越しとしながら左肩を痛め無念の途中休場。自身13度目のかど番には進退がかかっていた。持病の腰痛を抱え、23年にわたり酷使し続けた肉体は満身創痍の状態だった。秋場所も4日目の時天空戦で右ひざを負傷した。思いのままに動かぬ身体では左四つ右上手という絶対の形も不発。5日目から3連敗と黒星が先行した。師匠の友綱親方から「恐怖心」という弱気を見抜かれた魁皇は、痛み止めの注射を打ち、開き直って土俵に上がった。

 窮地の後半戦、魁皇の無我夢中の必死さが把瑠都戦と日馬富士戦でミラクル逆転劇を起こした。把瑠都のもろ手突きで土俵際に追い込まれ、上体は既に土俵の外という絶体絶命状態に。誰もが終わったと思った瞬間、命綱の右上手を引っ掛け右に回りこんで形勢逆転。把瑠都の背後につき、力強く送り出した。日馬富士には左手をたぐられ、のど輪で攻め立てられる。怪力で押し返すと、土俵際で両者がもつれる展開に。最後は左手一本で魁皇が生き残り、生涯初の逆とったりという決まり手で日馬富士を回転させた。魁皇の土俵に懸ける熱い気持ちがファンに伝わり、その応援が後押ししたとしか考えられない「奇跡」の白星だった。そして14日目、稀勢の里を破って勝ち越しを決め、見事かど番を脱した。

 苦闘し続ける魁皇の痛々しい頑張りには、頭の下がる思いである。

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