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新時代にふさわしい白鵬の連勝記録。
~千代の富士と比較して~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byKYODO

posted2010/11/12 06:00

2007年の初場所以来23場所連続二桁白星も達成、歴代3位タイとなる

2007年の初場所以来23場所連続二桁白星も達成、歴代3位タイとなる

 野球賭博問題に揺れた大相撲にあって、白鵬の連勝記録は、まるで別世界の出来事のように、鮮やかな印象をファンに与えている。千代の富士の53連勝を抜いて、すでに歴代2位。大相撲の歴史における白鵬への最終的な評価を下すのはまだ時期尚早だろうが、歴代2位の連勝記録を、内容において、千代の富士の連勝記録と比較検討してみることは可能だ。

 白鵬の連勝が、一人横綱の状況下で続いてきたことは事実である。今回の連勝記録の中で、横綱と対戦したのは今年1月、初場所千秋楽の朝青龍戦だけ。その後、2月に朝青龍が引退したため、春場所以降はずっと一人横綱が続いていた。

 では、千代の富士が53連勝を記録した時はどうだったのか。連勝記録を作ったのは'88年のこと。この時は、千代の富士以外に北勝海、大乃国という2人の横綱がいた。この事実をもって、千代の富士の53連勝の方が、白鵬の連勝記録よりレベルの高い記録であるとする見方は当然出てくるはずだ。

対横綱3勝を含む千代の富士53連勝の価値。

 53連勝を続けている間、千代の富士が対戦した横綱は大乃国だけだが、連勝の中で対戦したのは3度。つまり53連勝の中で、対横綱の勝利、3勝を含んでいる。

 また当時は、朝潮、小錦、北天佑、旭富士という4大関との対戦で、合計14勝を挙げたうえで記録を作ったことも、53連勝の価値を高めている。特に旭富士は'90年9月には横綱に昇進しており、こうしたレベルの高い大関陣に勝ち続けたことは、意味があると言っていい。

 白鵬の場合は、琴欧洲、日馬富士、魁皇、名古屋場所前に解雇された琴光喜、そして夏場所から昇進した把瑠都という大関たちと対戦してきたが、千代の富士に並ぶ53連勝を達成した時点で、対大関は13勝だった。この大関陣から、横綱になる力士が出てくるかどうか、現時点では何とも言えない。こういった点も、千代の富士の53連勝を高く評価する理由の一つになるだろう。

 だが、こうした横綱、大関との対戦回数に注目して連勝記録の価値を考えるのは、あくまで一つの見方であって、それがすべてではない。というのは、歴代の連勝記録は、横綱、大関によって連勝が止まったことはむしろ少ないからだ。連勝を止めるのは、平幕の力士なのである。

<次ページへ続く>

【次ページ】 双葉山、大鵬、朝青龍の連勝は全て前頭に止められた。

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