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内山のKO防衛で高まる、
リナレス戦への期待感。
~「黄金カード」の実現可能性~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2010/10/07 06:00

プロ戦績は16勝13KO無敗。キャッチフレーズの「KOダイナマイト」にももう慣れたという

プロ戦績は16勝13KO無敗。キャッチフレーズの「KOダイナマイト」にももう慣れたという

 守りの堅い相手に、ボディを攻めて意識を下に集中させ、一転、ガードの手薄になった顔面に強烈な右フックを打ち込む――内山高志がセオリー通りの攻めでインドネシアの刺客ロイ・ムクリスを撃退。豪快かつ頭脳的なTKO勝ちで、WBA世界スーパーフェザー級王座の2度目の防衛に成功した。

 内山の評判が右肩上がりだ。1月の王座獲得戦を含め、3度の世界戦をすべてKOで終わらせたのは、日本人世界王者として初。単なるスラッガーではなく、アマチュアで頂点を極めた技術的ベースも、確かな試合運びにつながっている。

 倒しっぷりは派手だが、素顔は常に謙虚さを忘れない大人のボクサーである。アマチュア時から人一倍の練習を積む努力家として知られ、「恐れず、驕らず、侮らず」(出身校である花咲徳栄高校ボクシング部のモットー)を体現している。今回も試合後の敗者を思いやる態度にチャンピオンかくあるべしと好感を抱いたファンも多かったに違いない。

対戦の機は熟しつつあるが「幻の黄金カード」となる懸念も。

 内山が評価を上げれば上げるほど、ファンの期待が膨らむのは、1年前まで同じベルトを保持していたホルへ・リナレスとの対決である。内山がリナレスを倒した男(サルガド)に勝って戴冠したからといって、「内山はリナレスより強い」という声はまださほど多くはない。リナレスの敗北はラッキーパンチを浴びたからというのが一般的で、実際、その後リナレスは強豪を倒して復権しつつある。

 しかし、内山もチャンピオンになった自信からボクシングに一層の深みを増し、リナレスも成長を認めている。この本格派同士の対戦は、現時点で考えられる最も魅力的なカードではないだろうか。

 今、もし2人が戦えば、リナレスのテクニックが内山の強打を封じるか、それとも内山の豪腕が鉄壁の守りを突き破り、再びリナレスに苦杯を舐めさせるか。実現すればKO決着の確率が高く、結果次第では、敗者がキャリアに終止符を打たれることにもなりかねない。そんなリスクが高いがゆえになおさら魅力的なのだ。

 対戦の機は熟しつつあるが、内山の次戦は暫定王者ホルへ・ソリスとの統一戦が確実視され、一方、体重のきついリナレスはライト級転向が時間の問題となってきた。このまま「幻の黄金カード」で終わってほしくないものだが……。

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