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“史上最速の男”チャプマンが、
レッズ躍進を加速させる! 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAP/AFLO

posted2010/09/05 08:00

“史上最速の男”チャプマンが、レッズ躍進を加速させる!<Number Web> photograph by AP/AFLO

チャプマンは2009年WBCで日本戦にも登板。その年の7月に遠征先のオランダで亡命していた

中継ぎへの配置転換がチャプマンの左腕を強化した。

 これが結果的に彼の才能を最大限に引き出した。中継ぎとして26試合に登板、4勝1敗、防御率2.40と抜群の成績を残した。昇格後2試合の登板を見ても、19球を投げボールはわずか3球と制球力は文句なしだ。さらに少ない球数で短いイニングに集中できるので、チャプマンの球威がさらに増すことになった。

 すでに多くのメジャー関係者の中から、今回のチャプマンの昇格を“K-Rodの再現”と予想する声が次々に上がっている。

 '02年にプレーオフ出場資格が残る期限ギリギリにメジャー初昇格を果たし、弱冠20歳ながらデビュー戦から三振の山を築く快刀乱麻。そしてプレーオフに入っても中継ぎの柱として大車輪の活躍で、エンゼルスをワールドチャンピオンに導いた“K-Rod”ことフランシスコ・ロドリゲスを記憶されているファンも多いだろう(ワールドシリーズの対戦相手は新庄剛志が所属するジャイアンツだった)。

リーグトップとなったチーム打率もレッズの追い風に。

 プレーオフ進出決定前ではあるものの、レッズは間違いなくポストシーズンの注目チームだろう。現在メジャーで注目を集め、43年ぶりの三冠王をアルバート・プホルスと争うジョーイ・ボットを擁する打線もチーム打率でリーグ1位と絶好調。熾烈な地区首位争いを続けていたカージナルスを引き離し、プレーオフ出場に一歩ずつ近づいている。

 そのなかでのチャプマンの合流は先発、中継ぎ双方の負担を大幅に軽減でき、さらにK-Rodの好例があるように、プレーオフのような短期決戦では、欲しい時に三振を奪いにいける圧倒的なパワーを誇る抑え以外の中継ぎ投手が必要不可欠。今後のチャプマンの投球がレッズの、さらなる躍進の鍵を握ることになるだろう。

プレーオフ争いから脱落したオリオールズも見逃せない。

 最後に多少横道にそれるが、『USA Today』紙に掲載されていた「9月のメジャー観戦」という記事で興味深いポイントを発見した。

 今回登場したレッズや同じくナ・リーグ西地区で首位にいるパドレスは、低迷した昨季途中から今季に向けた戦力整備を行い、9月には顕著な好成績(レッズは18勝9敗、パドレスは17勝9敗)を残している。その方向性が今季の躍進につながっているわけだ。そう考えるとプレーオフ争いから脱落したチームにも来季へ向けての興味が湧いてくる。ショーウォルター新監督を迎えてから快進撃を続け、上原浩治がクローザーを務めるオリオールズの9月の戦い方も見逃せなくなっている。

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アロルディス・チャプマン
シンシナティ・レッズ

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