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セレッソの名物寮長は
香川の第二の「お父さん」。
~柿谷、南野ら次の寵児を見守る~ 

text by

森田将義

森田将義Masayoshi Morita

PROFILE

photograph byKensaku Wakui

posted2013/05/06 08:00

セレッソの名物寮長は香川の第二の「お父さん」。~柿谷、南野ら次の寵児を見守る~<Number Web> photograph by Kensaku Wakui

 香川真司、清武弘嗣、乾貴士。セレッソ大阪を巣立ち、欧州で活躍する若き才能たちを陰で支えてきた人物がいる。ユースや若手の選手が入る選手寮の寮長、秀島弘だ。

 兵庫・有馬温泉の老舗旅館の総料理長を務め、定年後にその腕前が選手の食欲不振に悩んでいたクラブ関係者の目に留まり、10年前に寮長に就任。寮の食事とは思えぬ豪勢なメニューで選手の胃袋を支えるだけでなく、「サッカー選手も料理人も同じ技術者。料理人は気を抜けば包丁で手を切る。選手もたかが練習と思っていたら怪我をする。人より真剣に、多くの練習をしないと芽が出ないんや」と自らの経験を通じ、選手たちに精神面の指導も行なってきた。

 秀島は「有望」と評す南野拓実ら、今年の新人たちに「ウサギとカメ」の話を言い聞かせているという。

香川に先を越された“天才”柿谷から成長を感じた、ある出来事。

 ウサギとは入団時に“天才”と持て囃された柿谷曜一朗。カメは「(セレッソ加入時は)おとなしいし、サッカーなんか出来るんかなと思った」という香川だ。秀島は「頑張れ、お前は絶対に大丈夫。昼寝している奴は努力すれば追い越せる」と自信を与え続けた。その後伸び悩んだ柿谷とは対照的に、素直で練習熱心な香川は大きく成長。海を渡った今でも「悩んだ時は初心に帰れ。努力しかない」と声をかける秀島を、香川は「お父さん」と慕い、日本に戻れば必ず寮に顔を出すという。

 香川のブレイクに遅れはしたが、ウサギの柿谷も眠りから覚め、走り出した。秀島が変化を感じたのは去年の夏。徳島へのレンタル移籍から復帰した柿谷が寮を訪れ、「ワガママ言って、迷惑かけて申し訳なかったです。これから頑張るんで、よろしくお願いします」と頭を下げたという。「技術者としての心を掴んだ。この子は良くなる」という確信通り、今や柿谷はチームの中心となっている。

「香川とはお互いにモノを言いやすかった」「柿谷みたいなウサギはちゃんと走れば強い」と話す秀島は終始にこやかで、「孫と爺さんみたいな関係や」というのも頷ける。彼らの成長が、寮に住み込んで朝から晩まで働く秀島の元気の源となり、その姿を見ることが選手の成長に繋がっている。この好循環がある限り、セレッソから今後もタレントが出てきそうだ。

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