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23歳のマキロイ、マスターズに挑む。
“若さの特権”は大舞台で通じるか? 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byAP/AFLO

posted2013/04/11 10:30

23歳のマキロイ、マスターズに挑む。“若さの特権”は大舞台で通じるか?<Number Web> photograph by AP/AFLO

マスターズの練習ラウンドでプレーするマキロイ。今季最初のメジャー大会で、その一挙手一投足に世界からの注目が集まる23歳である。

 サンアントニオの曇り空の下では、真っ赤なドライバーはその色をより深くしていた。

「まさか彼が来てくれるなんてね」

 テンガロンハットをかぶったボランティアの長身老人が嬉しそうに言う。春めく季節の祭典マスターズの前週、バレロテキサスオープンに急遽参戦した、ローリー・マキロイの姿に目をやりながら。

 昨年8月に全米プロゴルフ選手権でメジャー2勝目を挙げ、欧米両ツアーで賞金王となった若きスターは今年、苦しんでいた。アブダビで自身のシーズン初戦を迎えて以降、低調な成績が続く。昨夏から7カ月間、守り続けてきた世界ランキングトップの座も、3月にはあっさりとタイガー・ウッズに譲ってしまっていた。

 マキロイが当初予定していなかったマスターズ直前のトーナメントへの出場を決めたのは、その前週金曜日である。シェル・ヒューストンオープンの2日目を終えた直後、キャディの助言を受けて心変わりした。

「最初は気にも留めなかったんだけど、ランチを食べて考え始めて、1、2時間してから決めたんだ」

 ユニセフ活動の一環で、地震被害のあったハイチを訪問する予定はキャンセル。出場をエントリーしたのは締め切り当日だった。

 そして日曜日、ヒューストンでの戦いを終えてからサンアントニオを目指し、西へ300キロ移動。その晩にはNBAの試合会場を訪れ、ドウェイン・ウェイド、レブロン・ジェームズといったスターとの記念写真に収まっていた。

勝負勘を取り戻し、マスターズの優勝候補に分け入るために……。

 4月11日に開幕するマスターズ。

 グリーンジャケットに最も近い存在を考えれば、今季出場6試合で3勝のタイガー・ウッズが筆頭候補と目されるのは当然だろう。オーガスタでの経験、相性でいえば人気を二分するフィル・ミケルソンも万全の状態を整えている。初のマスターズ制覇を狙うマット・クーチャー、キーガン・ブラッドリー、ジャスティン・ローズといった面々も捨てがたい。

 だがそこから、マキロイの名前を外すのは簡単ではないのだ。

 押しも押されもせぬトッププレーヤーとなって迎えた今年、彼は年間の出場計画を立ててシーズンに入った。

「コースでやることよりも練習に割く十分な時間が必要」ということで、昨年までに比べ大幅に出場試合数を減らす予定だった。しかし、いわゆる“試合勘”の欠如が明らかになり、スケジュール変更のドタバタ劇。結局、当初のシーズン見通しが甘かったことを認めたのである。

【次ページ】 躓きをすぐに取り戻せるのは、23歳という“若さの特権”。

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