MLB東奔西走BACK NUMBER

故障と打撃不振でピンチの中島裕之。
飽くなき探求心で今は“熟成”のとき。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2013/03/31 08:02

故障と打撃不振でピンチの中島裕之。飽くなき探求心で今は“熟成”のとき。<Number Web> photograph by Getty Images

3月26日、インディアンスとのオープン戦でヒットを放つも、走塁中に左太もも裏を痛め、途中交代となった中島裕之選手。

 MLBもいよいよあと数日でシーズン開幕を迎える。

 今年は例年になく、招待選手という形でキャンプに参加する日本人選手たちが多かった。

 彼らは“開幕メジャー”という共通の目的のために生存競争を戦ってきたが、この原稿を書いている米国3月28日時点では、カブスの高橋尚成投手が滑り込みで開幕メジャー入りを決めた以外、可能性が辛うじて残っているのはアスレチックスの岡島秀樹投手だけ。

 エンゼルスの小林宏之投手は解雇という過酷な決断を下された。それ以外の松坂大輔、建山義紀、田中賢介、川崎宗則(川崎の場合は契約が遅れた分メジャーキャンプにも参加できなかった)の各選手は、開幕をマイナーで迎え、シーズン途中でのメジャー昇格を狙うことになるという厳しいキャンプとなった。

開幕スタメン候補から一転、マイナー降格の危機。

 厳しいキャンプだったのは彼らだけではないようだ。今年、メジャー初挑戦のアスレチックスの中島裕之選手もその1人に数えられるのだろう。

 キャンプ開始当初はボブ・メルビン監督から先発遊撃手としての座を確約するような発言もあったようだが、ここに来て最近のオープン戦の不振から先発の座が白紙になったような報道まで飛び出している。さらにオープン戦出場中に左太ももを痛め負傷交代するというアクシデントにも見舞われ、決して晴れやかな開幕を迎えられそうにない状況だ。

 今回のWBCで再び侍ジャパンの面々がメジャー球の対応に苦慮したことでもわかるように、やはりこの球に対応できるようになるには時間がかかる。それは中島にしても同じことだ。

 とはいえ、もちろん中島はきちんと理解した上でメジャーの舞台に乗り込んできた。

 キャンプ開始直後に中島からじっくり話を聞かせてもらう機会があったのだが、次のように話していた。

「オープン戦の間はこっちのピッチャーに慣れるための準備。3月にどれだけ打ったところで、相手のピッチャーも調整期間な訳だし。そこそこ打てて、そこそこ守れればいいなと。(首脳陣から)アカンと思われないぐらいやれていればいいかなと思ってます」

 オープン戦のここまでの成績をみる限り、残念ながらオープン戦は中島の考えていたようには進行していない。だからといって中島が実力不足かといえばそれも違う。まだ、彼の思うようなパフォーマンスができるような準備が整っていないとでも言うべきか、今はメジャー仕様に変化するための“熟成期間”だと考えるべきではないだろうか。

【次ページ】 「やっているだけで楽しいし、選手として新しい発見が多い」

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