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「エディ・セッション」で
女子選手たちが学んだこと。
~ラグビー日本代表HCが直接指導~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2013/03/29 06:01

「エディ・セッション」で女子選手たちが学んだこと。~ラグビー日本代表HCが直接指導~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

突破を試みる山口を見守るエディHC。指導は当初90分間の予定だったが2時間を超えた。

「モンダイは? 何があった?」

 世界の名コーチに直接問い掛けられた若い女子選手たちは、最初は少し戸惑い気味に見えた。だが、「よくなった、上手ね!」と声をかけられながら練習が進むうち、表情にもプレーにも、自信が窺えるようになっていった。

 3月11日、横浜市保土ヶ谷区の横浜FCグラウンド。東日本大震災の犠牲者へ黙祷を捧げてから始められたラグビークリニックで、女子選手を相手に講師を務めたエディ・ジョーンズは、男子の日本代表を指導するときと同じように精力的に動き回り、選手に声をかけ続けた。

 このクリニックは、横浜を本拠地として活動する女子ラグビーチームTKM7(戸塚共立メディカルセブンズ)が主催し、首都圏の9チームから集結した32人の女子選手には、日本代表スコッドも18人含まれていた一方、中には初心者も。それでも練習はすべて相手をつけた実戦形式で行なわれた。

 エディがかける言葉も優しいものだけではなく、集中力が薄れたと見るや「ちゃんとやろう!」「これではテストマッチに勝てない!」などダメ出しも厭わない。7人制女子のエース山口真理恵は「この短時間で、選手の意識がすごく変わった。一人一人に考えさせて、選手同士に共通理解を作らせる。さすがですね」と、名将のコーチングに舌を巻いた。練習終了後も、多くの選手がエディを囲み、細かい技術などについて質問攻めにしていた。

時間が少ないからこそ実戦で育てるエディスタイルをヒントに。

 練習後のエディに感想を問うと「男子と似てるね」という答えが返ってきた。

「コーチの言葉を素直に聞くし、のみ込みが早い。問題は上手くパスを使える選手が少ないことだけど、実戦形式で練習したら、どんどん上手くなった」

 日本では、特定の動作を反復する練習が多い。初心者が多い中での苦肉の選択だろうが、時間が少なければこそ実戦で育てるのがエディイズム。現在オーストラリア、NZを武者修行中の男子ジュニア・ジャパンに山沢拓也、松田力也ら高校生4人を入れたのも同じ考えからだ。

 今年は15人制女子W杯のアジア予選、7人制のW杯本大会が相次いで行なわれる。限られた選手層と時間で結果を出すことを目指す日本女子ラグビーに、この日のエディ・セッションは、貴重なヒントを与えてくれた気がする。

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