SCORE CARDBACK NUMBER

「打倒トップリーグ!」
王者・帝京大の新たな挑戦。
~大学ラグビーの雄に起きた変化~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2013/02/23 08:00

来季帝京大はSO中村主将の下、前人未到の大学選手権5連覇と打倒トップリーグに挑む。

来季帝京大はSO中村主将の下、前人未到の大学選手権5連覇と打倒トップリーグに挑む。

「来年は、ここで勝てる準備をしてきます」

 帝京大の岩出雅之監督が「来年こそ」を宣言したのは、試合に敗れた後ではない。日本選手権1回戦で六甲ファイティングブルを相手に、大会史上最多得点となる115対5で圧勝した直後、翌週のパナソニック戦について聞かれたときだった。現在の日本選手権のフォーマットでは、大学王者は1回戦では全国クラブ王者に爆勝し、2回戦ではトップリーグ4強に大敗……大学では無敵の王者にとって、不毛な戦いが続いていたのだ。

「自分たちの実力が分からない大会になっています。学生は大学日本一を目指して1年間を過ごしてきた。それを達成してから『次は打倒トップリーグ』と言って、2~3週間で勝とうというのが無理な話。だけど来年は、ここで本気で勝ちを狙えるよう1年かけて準備します。今年はそのために思い切りぶつかって、社会人との差を体感して、次に繋げたい」

 これまでの帝京大は、強力FWでボールを支配し続けるセーフティな戦法を忠実に遂行。東海大など他校がトップリーグ勢に出稽古しても興味を示さず、大学カテゴリーでの勝利を堅実に掴んできた。それが、ここにきての心変わりだ。

新主将の日本代表辞退の申し出を認めなかった、岩出監督の真意。

「言う以上は、それだけの準備をしたということです」と岩出監督は言った。新年度は、サントリー、東芝、パナソニックのトップリーグ3強と練習試合や出稽古を「最低でも月1回できるように」すでに打診・調整を進めているという。

「実際に、それで勝てるかどうかは分からない。でも目標は高く持ちたいし、クラブとしてそれだけの力もつけてきた」

 対抗戦を軽視しているのか、という批判を浴びるかもしれない。だがリスク覚悟で大風呂敷を広げたのは「2019年W杯のために、選手には年間を通じて質の高い経験を積ませたい」からだ。

 新年度の主将となった中村亮土は「日本代表に選ばれても、チームを優先して辞退したい」と言ってきたが、岩出監督は「アカン、行け」と言ったそうだ。

「皆はお前に頼ってない。逞しくなって帰ってくれば、その方が喜んでくれる」

 2月10日の2回戦はパナソニックに21対54の大敗。だがスコア以上に、帝京大の戦いぶりは熱かった。1年後、大学王者はどんな戦いを見せてくれるだろう?

関連コラム

ページトップ