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4年ぶりの勝利を遂げ、
高橋裕紀が完全復活。
~モト2初代チャンピオンの夢へ~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2010/07/17 08:00

4年ぶりの勝利を遂げ、高橋裕紀が完全復活。~モト2初代チャンピオンの夢へ~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 今季モト2クラスで再起を図っていた高橋裕紀が、第7戦カタルーニャGPで今季初優勝を果たした。予選2番手から好スタートを切り2位に浮上。その後、首位を独走していたA・イアンノーネが、ピットスルー・ペナルティで順位を落としたことで、独走でチェッカーを受けた。250ccクラスに参戦していた'06年ドイツGP以来、4年ぶりの優勝。表彰台に立つのも2年ぶりのことだった。

「'06年の最終戦で大きな怪我をして、いまでもその影響はある。去年モトGPに上がったけれど、チームのゴタゴタでシートを失った。腰にヘルニアという持病も抱えた。この数年間のいろんなことが思い返されて、チェッカーを受けた後に涙が出た。今日はイアンノーネのペナルティで転がりこんできた優勝だけど、僕以上に喜んでいるスタッフを見ていたら、いままで感じたことのない感情がわき上がってきた」

自分たちで作り上げた、つぎはぎだらけのマシン。

 マシンはつぎはぎだらけの溶接の痕が生々しい。金曜日の走行を終えた後に車体の強度を上げるためにメインフレームを補強したからだ。文字通り、自分たちで作り上げたマシンでの勝利だった。

 高橋はウイニングランの涙を見られないように、ヘルメットのシールドを開けて涙を乾かしながら表彰台へ向かったという。しかし、パルクフェルメで待ち受けていたスタッフたち全員が男泣きに泣いているのを見て、「せっかく乾かして帰ってきたのに、また涙が出てきた」と笑った。

'06年最終戦での骨折やヘルニアを乗り越えての勝利。

 絶好調だった'06年の最終戦で右足大腿骨と脛骨などを骨折。この怪我で足の感覚がなくなり、数年間にわたり苦しいレースを強いられた。しびれがある状態はいまも続いている。その後、ヘルニアを発症して腰に爆弾も抱えた。その間にライバルだった青山博一が250ccチャンピオンになりモトGPへ。再起を賭けたモト2では、後輩の富沢祥也に優勝で先を越されていた。

 今年の目標を、「モト2初代チャンピオンを目指す」と語っていた。その夢も序盤の苦戦で消えかけていたが、今大会の優勝で息を吹き返した。「おめでとうといわれてこんなに嬉しいのも初めて。みんな見ててくれたんですね」と、4年ぶりの優勝の喜びを噛みしめていた。

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