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奇蹟の復帰で見せつけた、
ロッシが天才たる所以。
~ドゥカティ移籍で母国帰還へ~ 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2010/08/19 06:00

奇蹟の復帰で見せつけた、ロッシが天才たる所以。~ドゥカティ移籍で母国帰還へ~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

歩く姿は痛々しいが、アメリカの表彰台では松葉杖を投げ捨てるパフォーマンスを見せた

 イタリアGPで右足脛骨と腓骨を骨折し、今季絶望とまでいわれたV・ロッシが、誰もが驚く復活劇を見せた。

 怪我からわずか41日目の復帰戦となった第8戦ドイツGPで、いきなり表彰台争いを演じて4位。これだけでも周囲を驚かせるのに十分だったが、翌週のアメリカGPでは3位表彰台に立った。

 全治5カ月から6カ月といわれる右足の回復状況については、「別にサッカーをやろうというわけじゃないからね」と周囲の心配を吹き飛ばした。その一方、4月のモトクロストレーニングで痛めた右肩靭帯が思いのほか重傷だった。本人はあまり多くを語らないが、どうやらシーズン序盤に苦戦が続いたのも、この怪我が原因だったようだ。

 アメリカGPではトップを走るD・ペドロサが転倒。それにより4番手に浮上したロッシは、「表彰台に立てるかもしれない」と3番手のドビツィオーゾを激しく追撃し、熾烈な戦いを制した。表彰台に立ちたいという気持ちが、見ている者にはっきりと伝わるレースであり、長年にわたり「王者」の称号をほしいままにする実力が垣間見える素晴らしい走りだった。

ドゥカティ移籍が決まり、ロッシ人気は新たなステージへ。

 ロッシの絶大な人気の理由は、今回のように「期待に応える走り」にある。デビューから14年で9回のタイトル獲得。通算232戦104勝、表彰台168回。4割5分の確率で優勝し、7割2分の確率で表彰台に立って来た(8月11日時点)。デビューからの連続出場記録は230でストップしたが、今回の復活劇であらためて「天才」を印象づけた。

 ロッシ復活は世界中のファンを驚喜させ、「さすがはロッシ」という賞賛の声が相次いだ。その反応は、ロッシ不在の4レースが、ファンにとってどんなにつまらないものだったかを教えてくれた。「つまらない」とはロッシを打ち負かすことを目標に戦ってきたライバルたちも感じたようで、いまのモトGP人気が、いかにロッシひとりに頼っているかをあらためて教えてくれる数十日だった。

 来季のロッシはドゥカティ移籍が決まり、イタリアでは早くも大変な騒ぎになっている。騒ぎをよそに、本人は「夏休み明けのブルノでは100%で走れる」とコメント。後半戦では、ロッシ人気が新たなステージに突入しそうだ。

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