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大きな喪失感に包まれる、
王者不在のグランプリ。
~重傷ロッシの転向はあるか?~ 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2010/06/18 06:00

大きな喪失感に包まれる、王者不在のグランプリ。~重傷ロッシの転向はあるか?~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

イタリア国内のみならず、世界中で圧倒的な人気を誇るロッシ。その不在の影響は大きい

 6月上旬、ムジェロで開催された第4戦イタリアGPで、V・ロッシが転倒、右足脛骨と腓骨を骨折した。全治4カ月から5カ月という重傷で今季のタイトル防衛が絶望となった。ロッシは'96年に125ccクラスでデビューして15年目。これまで104勝を含む167回の表彰台、3クラスで9回のタイトルを獲得した。230戦連続出場はGP新記録で、速くて転ばないという天才ライダーの名に相応しい実績を築いてきた。

 '00年に最高峰クラスに上がり、'01年から'05年まで5年連続でチャンピオンを獲得した。その後、2シーズンはマシンの不調やタイヤパフォーマンスの差で王座から遠ざかるが、この2年は台頭する若手を相手にタイトルを奪還した。近年のライバルはC・ストーナーにチームメートのJ・ロレンソ。一発の速さだけなら、すでに彼らに負けている印象だが、レースの駆け引きなど総合力で上回った。

得意なサーキットでの転倒で感じたロッシの衰え。

 '08年、終盤戦にストーナーが自滅してタイトルを獲得したとき、ロッシは「ピークは過ぎていると思う」と謙虚に語っていた。その言葉通り、年々、王座防衛が厳しくなっており、昨年もロレンソの自滅に助けられてのタイトル獲得だった。今年も開幕戦カタールでこそ優勝したものの、第2戦スペイン、第3戦フランスと、ロレンソの後塵を拝していた。

 それだけに、イタリアGPはどうしても負けられない、10回目のタイトルに向けて正念場のレースだった。初日のフリー走行では文句なしの速さでトップに立ち、2日目も着々とセットアップを進めていたが、高速シケインで200km近いスピードで転倒した。ムジェロでは'02年から'08年まで7年連続、3クラス通算で9回優勝と知り尽くしているサーキットだけに、この転倒はロッシの力の衰えを感じさせた。

注目が集まる天才ライダーのこれから。

 今回の怪我がロッシの将来を決めることになるのは間違いない。かねてから噂されている4輪への転向。それとも、もう一度、タイトル奪還に全力を尽くすのか。天才ライダーのこれからに大きな注目が集まりそうだ。そして、打倒ロッシを目標に戦ってきた若手たちにとっても喪失感の大きいシーズンとなった。ロッシのいないイタリアGP、優勝したのはD・ペドロサだったが、予想通り拍子抜けのレースだった。

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