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鮮烈な世界デビューを果たした
17歳の逸材。
~ウィンブルドンJr.で41年ぶり快挙~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2010/07/20 06:00

鮮烈な世界デビューを果たした17歳の逸材。~ウィンブルドンJr.で41年ぶり快挙~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 17歳、石津幸恵の鮮烈な“世界デビュー”だった。ウィンブルドンジュニアで、日本選手では1969年の沢松和子以来41年ぶりの決勝進出。惜しくも敗れたが、攻撃的なテニスで観客の大声援を浴びた。

 国内では小学生の頃から敵なしの石津。大会開幕時のジュニア世界ランキングでも9位につけていたが、大会が始まるまでは、ほぼ無名だった。しかし、準決勝で地元英国の天才少女ロブソンに快勝すると、注目度は急上昇。試合後は地元の子供たちのサイン攻めにあった。

 決勝でも、身長で18センチ上回るプリスコバ(チェコ)をストロークで押しまくった。内容ではまさっていただけに、ファイナルセット4-2からの逆転負けは残念だったが、彼女の父親でコーチの泰彦さんは「あれは仕方ない。ジュニアではよくあること。かえって、天狗にならなくてよかった」と笑って振り返った。一方、冷や汗をかかされたチェコ選手のコーチは「サーブがよくなればWTA(女子プロツアー)で20位に入れる」と石津を絶賛したという。

すでに代理人と契約し、プロ入りの準備も整った。

 石津の柔らかい手首を生かしたストロークには伸びがあった。攻撃はリズミカルで、しかも執拗だ。地元選手への応援一色で、石津がウイナーを決めても拍手一つ起きない完全アウェー状態の準決勝では、精神面の強さを示した。

 なにより、どんな場面でもひるまず打っていくところがいい。父親の泰彦さんも「そこが彼女の才能」と胸を張る。「シニアの本戦に出ても、ストロークで十分に相手を振り回せるのではないか」と娘のプレーに確信を深めた様子だ。

 石津の夢は「ウィンブルドンのセンターコートに立ち、優勝すること」。もちろん本戦での話だ。ジュニアは8月のユース五輪で卒業する。すでに代理人と契約し、プロの世界に飛び込む準備も整っている。国内で開催されたツアー下部大会ですでに5度も優勝し、最新のWTAランキングでは313位につける。

「今年中に100位くらいになって、四大大会の予選に出られるようになりたい」と石津。今年の全仏で、そろって四大大会初出場を果たした奈良くるみと土居美咲が身近な目標だ。来年のウィンブルドンでは、本戦選手として芝を踏みしめる彼女の姿が見られるかもしれない。

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