スペインのポゼッションサッカーに対抗する手段は大きく分けて2つある。
1つはスイスがグループステージ初戦で見せた強固なブロック構築。もう1つはチリが同じくグループステージの最終戦で見せた高い位置からの極めて激しいプレッシング。
ドイツは、なぜか前者を選んだ。そして、スイスほどゴール寄りではないが、自陣にどっしり構えた。「なぜか」というのは、今大会トップクラスの攻撃力を自ら封印したのが意外だったからだ。そのため試合も予想外の展開となった。
スペインが思う存分ボールを廻す。それがまた鮮やかで、うかつに飛び込めないため、ドイツはブロックを保たざるを得なくなる。
ただし、スペインのパスワークが蘇ったのは、ドイツが受け身に回ったからだけではない。
デルボスケ監督がトーレスを外しペドロ先発起用の英断。
きっかけはふたつ。
まず、ラインアップだ。
デルボスケ監督は不調を知りながらこれまで頑なに使い続けてきたトーレスを外し、ペドロを今大会初めて先発起用した。これが当たり、2列目のパス交換が断然良くなった。同じバルサ組のシャビやイニエスタ、ブスケッツと息が合うのは当然である。
もうひとつはシャビの復活。
密着マークがない上、アロンソにスペースを譲られたシャビは、自分のリズムで好きにボールを動かすことができた。スペインにとっては決定的なアドバンテージ、ドイツにとっては致命傷だ。
こうして本来のサッカーを取り戻したスペインは、6分にペドロが、14分にイニエスタが、15分にはセルヒオ・ラモスがゴールチャンスを演出した。ボール支配率からすると回数は少ないが、そこはドイツのディフェンスラインを褒めるところ。
ドイツは後半からメンバーを代えるが試合は動かず。
ドイツがボールを奪っても、スペインはすぐにプレッシャーをかけ、敵陣内で取り戻してしまう。たとえセンターラインを越えても5mと進ませない。
後半に入り、レーブ監督は左SBをヤンセンに替えた。絶え間なく攻撃参加するラモスの背後を突こうという腹である。
ところが流れは前半のまま、何も変わらない。スペインがチャンスを作り、ドイツは体を張って、運にすがってゴールを守る。
と、そのとき思いも寄らぬ好機がドイツに訪れた。
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