WBC 侍ジャパンの道BACK NUMBER
キューバに敗れて見えた侍打線の姿。
台湾・王建民は1番・角中で攻略せよ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/03/07 11:55
高校時代は甲子園とも縁遠く、独立リーグを経て千葉ロッテにドラフト7位入団した角中勝也。プロ6年目の昨季、打率.312でパ・リーグの首位打者に輝いた。
台湾戦、いまだ侮れない王建民をどう攻略するか!?
ニューヨーク・ヤンキースでは'06年から2年連続で19勝を挙げ、最多勝のタイトル('06年)も獲得した右腕の武器は、日本では滅多にお目にかかれない、重く制球のいいハードシンカーだ。
ここ数年はケガに泣き、今季は所属先も決まらないまま台湾代表入りしてきた。
「大会でいいパフォーマンスを見せれば、メジャーか日本で契約を取れる可能性もあるので頑張る。そのためにも2次ラウンドの日本戦に照準を合わせて調整する」
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大会前に本人がこう話していたとも聞くだけに、日本にとっては2次ラウンド突破にやっかいな存在となりそうなのである。
果たして全盛期のどれぐらいのパフォーマンスまで戻っているのか。1次ラウンドの豪州戦を見る限り、球速の平均は130キロ台後半と全盛期の勢いはないが、シンカーをコーナーに落とす技術は抜群。また全61球中、42球がストライクという抜群の制球力で6回を散発4安打に抑え込んでいるだけに、やはり侮れない存在と言わざるをえない。
2次ラウンドの球数制限は80球まで増えるので、その術中にはまれば7回ぐらいまで一人で投げきられてしまう可能性も十分あるわけだ。
それをどう攻略するのか。台湾戦のポイントはそこに絞り込まれるはずだ。
“しぶとさ”を買われ、1番に抜擢の可能性が出てきた角中。
「1、2番にしぶとい打者が必要。腹をくくるしかない」
立浪コーチの決断だ。
そこで名前が浮上してきたのが、キューバ戦では内川の代役で3番・指名打者で先発、2安打を放った井端弘和と、打力を買われて初代表入りを果たした角中勝也の2人だった。
特にカギを握りそうなのが1番に抜擢の可能性が出てきている角中だ。
何より角中の特長は、追い込まれても外角のツーシーム系をカットできる技術があること。昨年、首位打者をとったのも外の難しいボールをカットで逃げて、甘い球を仕留めるという打撃の賜物だった。ワン・チェンミンのハードシンカーにどこまで対応できるかはもちろん未知数だ。ただ、状態の上がらない長野久義、坂本勇人は下位に下げ、その技術にかけて1番を任せる価値はあるだろう。