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480日ぶり実戦も不安一蹴。
菅野智之の挑戦が始まる。
~WBC組の多い巨人を救えるのか!?~ 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/03/08 06:00

480日ぶり実戦も不安一蹴。菅野智之の挑戦が始まる。~WBC組の多い巨人を救えるのか!?~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 日本ハムのドラフト指名を受けた菅野智之が1年間の浪人を決めた直後、ある会でこんなふうに話していたことが印象に残っている。

「僕はどこで野球をやっても同じだと考えているけれど、両親の立場を考えたら、わがままばかりは言えない」

 よく知られているように、菅野の祖父は東海大野球部顧問の原貢氏、母はその長女であり、原辰徳監督の妹である。原監督も、プロから声がかかる存在でありながら、人気の東京六大学ではなく、首都大学リーグの東海大に進学を決めた。息子の辰徳が監督を務める巨人に、孫の菅野を入団させることは、貢氏の壮大な夢であったろう。その気持ちが痛いほどわかるからこそ、菅野は「巨人」という選択を貫いたに違いない。

“1年間の空白”というリスクを感じさせない、完璧な体づくり。

 当然ながら“1年間の空白”というリスクは大きい。過去の経験者は、投手では江川卓しかいない。それもあって原は一昨年オフ、二子玉川で江川に会い、コーチに迎え入れようとしていた。1年間の野球留学を経て江川が巨人に入団した'79年、当時の監督だった長嶋茂雄は“元に戻すのは3年はかかる”と頭を抱え、地獄の伊東キャンプを敢行した。その教訓を生かしたのか、菅野は完璧な体づくりをしてキャンプに臨んだ。

 2月24日の沖縄セルラースタジアム那覇、祖父や父ら親族が見守るなか、480日ぶりとなる対外試合のマウンドに立った。

“1年前、同じ球場で名前のない練習着で紅白戦に投げたこと”を思い出しながら投じた楽天・聖澤諒への初球は、この日最速となる146kmのストレート。これは力んだ分、高めにすっぽ抜けたが、ここからが見事だった。

 内外角にカットボール、ワンシームを投げ分け、3回を投げて2安打無失点。もう何年も二桁勝利をあげているようなピッチングを見せたのだ。投球を見た祖父貢氏は、「投げ込むうちに148、9kmのストレートは投げられるはず。80点の及第点」とご機嫌だった。

 内海哲也、杉内俊哉、澤村拓一というローテーション投手3人を侍ジャパンに派遣する巨人。“WBC帰りは2カ月は使い物にならない”という言葉もあり、先発陣が苦しくなる時期が来るかもしれない。そんな時、菅野がチームを救うヒーローになりそうな予感がした。

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