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V4王者・船木誠勝が背負う、
“軽量”という重い十字架。
~曙の次の挑戦者は諏訪魔に~ 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/02/18 06:00

身長差20cm以上、2倍以上体重の違う曙に顔面キックを一閃し、防衛を果たした船木(右)。

身長差20cm以上、2倍以上体重の違う曙に顔面キックを一閃し、防衛を果たした船木(右)。

「プロレスだから……」では、片付けられぬ体重差だ。90kgにも満たぬ王者が210kgの挑戦者を迎え撃つ、過去に前例のないタイトル・マッチ。

 1月26日、東京・大田区総合体育館で行なわれた全日本プロレス、今年初の3冠ヘビー級選手権のことである。

 王者・船木誠勝と挑戦者・曙、両者の体重差は約120kg。総合格闘技から戻ってきた船木の秒殺か、曙の重爆圧殺か。見る側としては劇画チックで興味をそそられたこの一戦。毎年恒例のチャンピオン・カーニバルでは未だ当たっておらず、シングル初対戦というところにも、ファンの注目が集まった。

 曙の下半身を狙う船木は、距離を詰めてグルグル回るも、単発のキックでは巨大な肉の壁はビクともしない。そこで必殺のハイブリッド・ブラスター(片手式パイルドライバー)を仕掛けるが、巨体に押し潰される。ならばと、曙の首に抱きつくように三角絞めをかけた。ここから試合が動く。スローな動作で立ち上がる曙にキックを連打する船木。そして座り込んだ巨漢に顔面キックを浴びせて蹴倒し、11分54秒でKO。4度目の防衛を飾った。

3月17日、東京・両国国技館が5度目の防衛戦に。

 曙は試合序盤と場外戦で見せ場を作ったが、210kgの重量を生かし切れずに終わった。プロレスデビューして8年、3冠ベルトは思いのほか遠かった。スタミナ不足は否めず、このままではタイトル挑戦のチャンスは巡ってこない。

 この一戦、見終わったあとの感想は百人百様だろう。蹴りでの決着シーンはなんとも素っ気なかった。さらに、この途方もない体重差は、下手をすれば、キワモノと受け取られかねないタイトル・マッチだ。馬場・全日本から3冠戦を見続けてきた筆者には、食い足りない印象が残った。

 '13年マット初の大仕事を終えた船木は「3冠防衛戦の記録(川田利明の10回連続)を塗り替える」と意気込み、新しくアドバイザーに就任した蝶野正洋が強硬に要求してきた諏訪魔を次期挑戦者として受け入れた。3月17日、東京・両国国技館が5度目の防衛戦になる。

 実力者・諏訪魔を倒した先には、ノアを退団したバーニング軍団のリーダー、秋山準が待っている。90kgの軽量王者には荷が重過ぎる春である。

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