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MLB市場の日本人評価は回復基調!?
藤川、中島の高評価に表れる期待感。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2012/12/28 10:31

MLB市場の日本人評価は回復基調!?藤川、中島の高評価に表れる期待感。<Number Web> photograph by Getty Images

海外FAでシカゴ・カブスと2年950万ドル(約8億円)という破格の契約を結んだ藤川球児投手。メジャーでクローザーとしての活躍を目指す。

藤川球児に対するカブスの高評価は妥当か否か?

 そんな状況のなか、来年からのメジャー挑戦を決めた2人の日本人FA選手が、すんなり契約合意したのにはある意味驚きだった。

 カブス入りが決まった藤川球児投手とアスレチックス入りした中島裕之選手だ。

 繰り返しになってしまうが、これだけ早い時期に契約が決まったということは、それぞれのチームで2人が高い評価を受け、チームの補強策の中で優先順位の高かった選手だったということだ。

 ここ数年、NPBでリリーフ投手として実績のあった投手たちがメジャー移籍しながらも、期待通りの活躍ができていないという状況が続くなか、藤川が合意した(現地報道で)2年950万ドル(約8億円)はかなり破格だ。

 1年の基本年俸400万ドルは、今シーズンのカブス中継ぎ投手の中でも主力級の額である。カブスのとった行動は“日本の成績がそのままメジャーで反映されることはない”という風潮が広がる昨今のメジャーにあって、かなり大胆だったと言わざるを得ない。その分、カブス・ファン、地元メディアも藤川に対しシビアな目を向けてくるはずで、藤川が受けるプレッシャーも相当なものとなるだろう。

藤川、中島への高評価が日本人再評価の追い風となるか。

 藤川以上に驚いたのが中島だった。

 契約総額(2年650万ドル)は藤川より低いとはいえ、今シーズン開幕時のチーム年俸総額が30チーム中29位というジリ貧球団からすれば、これまた破格の契約内容だ。

 同じ野手として、'12年にメジャー入りした青木宣親選手や川崎宗則選手が厳しい評価であったことと比較しても、かなりの高評価である。しかも、'11年オフにポスティング制度により中島との独占交渉権を得たヤンキースは、あくまで控えの内野手としてしか扱ってくれなかったが、アスレチックスは先発遊撃手として獲得を決めたのだ。

【次ページ】 双方に利点が少ないポスティング制度は見直すべきでは?

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