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大谷獲得は糸井の流出に備えて?
日本ハム打線の“近未来予想図”。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/12/12 10:30

大谷獲得は糸井の流出に備えて?日本ハム打線の“近未来予想図”。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

12月9日、日本ハム入りを正式表明した大谷翔平(右)は栗山英樹監督と笑顔で握手。

チームの命運を左右しかねない田中賢介のメジャー挑戦。

 今年、大谷の陰に隠れて騒がれていないが、田中賢介のメジャー挑戦がチームの命運を左右しかねない大きな問題として横たわっている。

 田中は今季8月29日の西武戦の7回表、一塁ベースカバーに入ったときに打者走者の中島裕之と交錯し、左腕(左橈骨頭)を骨折した。この試合を1対3で敗れたことによりチームは首位西武に2ゲーム差をつけられ、さらにセンターラインの中心ともいえる田中を失い、優勝争いから大きく後退した感があった。普通の感覚なら飯山裕志、加藤政義、今浪隆博など中堅、ベテランを充てて凌ごうとするが、日本ハム首脳陣の発想はまったく違っていた。

 20歳の西川遥輝を3番二塁、さらに21歳の杉谷拳士を2番右翼、同じく21歳の中島卓也を9番遊撃という具合に若手をスタメンで抜擢し、窮地を脱しようとしたのである。結果的に、それ以降18勝9敗3分け、勝率.667で乗り切り、2位西武を3ゲーム差引き離して3年ぶりの優勝を果たすわけだが、次代の陣容を想定しながら目の前のゲームに勝つという至難の技をやってのけたところに日本ハムの凄さがある。

今の日本ハム野手陣に大谷が入りこむ余地はあるのか!?

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 田中に続いて流出を覚悟しなければいけないのが糸井嘉男(右翼手)である。近畿大から入団して2年間は投手としてプレーし、本格的に野手に転向したのは'06年から。3年間の助走期間を経て、過去4年間は連続して打率3割以上を記録し、通算安打は早くも638本に達している。来季中に32歳になる年齢が気になるが、走攻守いずれもレベルが高いそのプレーぶりにメジャースカウトの目は早くも光っている。この糸井の後釜に大谷はぴったりはまる。

 投打“二刀流”を希望する大谷に対して、「打者としてなら20年に1人、投手としてなら5年に1人」と言ったスカウトがいた。20年、5年というのは大雑把な括りで意味はない。要はそれくらい打者としての素質が群を抜いているということである。しかし、いくら素質が群を抜いていても今の日本ハム野手陣に大谷が入りこむ余地を見出すのは簡単ではない。

[捕手] 鶴岡慎也、大野奨太
[一塁手] 稲葉篤紀
[二塁手] 西川遥輝
[三塁手] 小谷野栄一
[遊撃手] 金子誠、中島卓也
[左翼手] 中田翔
[中堅手] 陽岱鋼
[右翼手] 糸井嘉男
[指名打者] ホフパワー
[代打] 二岡智宏

 来季の一軍での働き場所が限りなく狭いことがわかる。しかし、2014年以降となると話は違う。メジャー挑戦の可能性のある糸井をはじめ、年齢的後退が現実的な稲葉など、大谷が入りこめそうなポジションが散見される。この辺りの客観視が日本ハムフロントは優れていると思う。

【次ページ】 二刀流は消滅し打者一本のプレースタイルに……?

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