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聖地ウィンブルドンで
74年ぶりの快挙なるか。
~A・マリーにかかる英国の期待~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2010/06/21 06:00

聖地ウィンブルドンで74年ぶりの快挙なるか。~A・マリーにかかる英国の期待~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 6月21日に開幕するウィンブルドン。最大の焦点は、'08年覇者で世界ランク1位のラファエル・ナダルと昨年のチャンピオン、ロジャー・フェデラーの優勝争いだが、地元イギリスのアンディ・マリーの戦いぶりにも注目したい。

 1936年のフレッド・ペリーを最後に、英国の男子選手はウィンブルドンのタイトルから見放されている。それだけに、地元ファンがマリーに期待するのは優勝の二文字だ。大会が開幕すると現地の新聞は連日、マリーの試合結果や次戦への展望に大きな紙面を割く。ゴシップ記事で知られるタブロイド紙も含め、自国の英雄についての報道は「狂想曲」という言葉がピッタリのにぎやかさとなる。

 ひと月ほど前、彼に近い人物に質問を託す形でインタビューを行なった。自国で開催される四大大会でどんなプレッシャーと戦っているのか、というのが一番聞きたかったところだが、案の定というか、うまくはぐらかされた。

世界ランク4位ながら今季無冠のスランプを脱するか?

「ウィンブルドンでは非常に多くのものを求められるけれど、僕は英国人なのだから、それは覚悟の上だよ。それに、大会が始まってしまえば重圧は気にならない。勝つことに集中しているからね」

 おそらく彼は、数え切れないほどこうした質問に答えてきたはずだ。答えは、その口から自動的に出てくるのだろう。

 その心中は穏やかでないはずだ。世界ランクは4位にいるが、今季はまだ優勝がない。全豪では決勝でフェデラーに完敗し、表彰式で涙を流した。「僕も(1年前の表彰式での)ロジャーのように泣くことはできるけれど、彼のようにはプレーできなかったよ」というジョークは涙の塩味が効き過ぎていた。

 春先にはマスターズシリーズで2大会連続初戦敗退の屈辱も味わった。全仏も4回戦止まり。調子は上がらなくても、ウィンブルドンの開幕が迫ればファンの期待は日増しに高まる。重圧はない、と自分に言い聞かせるしかないのだろう。

 実力的には、優勝してもおかしくない選手だ。派手さはないが、試合の流れを読むのがうまく、守備から攻撃に転じたときの迫力はなかなかのもの。春先からのスランプで、かえって肩の力が抜けるということも考えられる。74年ぶりの地元選手の優勝に沸くウィンブルドンというのも、見てみたい。

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