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タイトルを奪還したロレンソの精神力。
~粘りの走りで再びモトGP王者へ~ 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2012/11/14 06:00

タイトルを奪還したロレンソの精神力。~粘りの走りで再びモトGP王者へ~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

タイトル獲得の表彰台には、ロレンソを支えたチームスタッフ全員が登って2年ぶりの喜びを分かち合った。

 モトGP第17戦オーストラリアGPで、タイトルに王手をかけていたJ・ロレンソが2位になり、2年ぶり2回目のチャンピオンを獲得した。

 オーストラリアGPでロレンソがタイトルを獲得する条件は、D・ペドロサに先着することだった。対してペドロサは、ロレンソに先着すれば、最終戦にタイトル争いを持ち込める。しかし、フィリップアイランドを苦手とするペドロサは、スタートして2周目に痛恨の転倒を喫し、あっけない幕切れとなった。長く厳しいチャンピオンシップも、終わってみれば、安定したレースを続けたロレンソに軍配が上がったことになる。

 開幕直前に最低重量のレギュレーションが変わり、1社供給のブリヂストンはシーズン中にタイヤのスペックを変えた。これに素早く順応したヤマハのロレンソが前半戦をリード。2年連続のタイトルを狙うC・ストーナーと首位を争い、それにペドロサが続くという展開だった。しかし、ストーナーはシーズン中盤にケガのためチャンピオン争いから脱落。後半戦はヤマハが得意とするブレーキングとコーナリングでホンダが大きく進化し、勝負できるバイクを得たペドロサが、持ち前のスピードを生かしてロレンソを圧倒。ポイントでもロレンソに迫っていた。

勝てないときは2位を狙う作戦が、タイトル獲得の最大の要因に。

「前半戦は順調だったし、ポイントでリードしているのに、常に追い詰められている状態だった。後半戦はなかなか勝てなくて苦しかった」

 こう語るのは、辻幸一ヤマハモトGPグループリーダーだ。勝てないときは確実に2位を狙うという作戦が功を奏し、ペドロサの追撃を振り切った。ここまで17戦して6勝。これはペドロサと同じだが、2位10回というのが、今年のタイトル獲得の最大の要因となった。

 2年ぶり2回目のタイトルを獲得したロレンソは、ますます速くて強いライダーになった。電子制御が進んだことで転倒が少なくなったことも、ロレンソには追い風となった。

 勝つことも大事。しかし、ミスをしないことがチャンピオンになる最大の秘訣。今季、ストーナーとペドロサに優ったのは、運と実力だけでなく、「我慢」という精神力だった。表彰台で喜びを爆発させるロレンソを見ていると、そんな気がしてならなかった。

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