攻守共に「最後」が弱い日本と、「最後」が強いブラジル。

　この日、ザックジャパンらしくなかったのは縦パスの少なさだろうか。

　香川がペナルティーエリアにタイミング良く入ってもボールが縦に出てこなかった場面があった。ブラジルの守備が強固なため、横パスが自然と多くなっていた感はある。

　攻守にわたって「最後」が弱い日本と、「最後」が強いブラジル。そこの差を、香川は痛感したのだろう。

　ただ、中盤の本田を1トップに置く「ゼロトップ」については手ごたえを感じた様子。後半には乾貴士が入ってきたことで本田を含めて流動的なポジショニングでかく乱しようとした。

「中盤で一人ひとりが連動して、入れ替わり激しくボールを回せばチャンスになるかなと思っていました。その形は何回かつかめていたと思う。後半の形はやりやすく感じた」

ザッケローニ監督が指摘した、この試合の問題点とは？

　では指揮官の立場でアルベルト・ザッケロー二はこの試合にどのような感想を抱いたのか。

「日本はいいプレーをした」と彼は前置きしたうえで言った。

「相手がブラジルではなくても、相手に何らかの理由でリードを許すケースは今後も必ず出てくる。そんな場合でも引き続き個人技ではなく、チームとして戦い続けることを学ばないといけない。このチームは私の性格にちょっと似ていて、決して負けたくないという気持ちを持っている。だからリードされると、さらに何かをしてやろうという気持ちが強く出て、個人プレーに走ってチームプレーを忘れてしまうきらいがあった」

　サイドを使わず、狭い中央のスペースで各々が勝負しようとしたことも指揮官にとっては不満要素のひとつだったのかもしれない。また飛び込んでかわされてピンチを招く守備も指しているのかもしれない。

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