SCORE CARDBACK NUMBER

日馬富士の横綱昇進で
白鵬はふたたび輝くか。
~綱を張って5年、心機一転の時~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byKYODO

posted2012/10/23 06:00

日馬富士の横綱昇進で白鵬はふたたび輝くか。~綱を張って5年、心機一転の時~<Number Web> photograph by KYODO

奉納土俵入りで不知火型を披露する日馬富士。全日本力士選士権でも4度目の優勝を飾った。

 相撲界待望の第70代横綱は、またもや草原の国「モンゴル」から生まれた。

 朝青龍の電撃引退から約2年半。白鵬がひとり横綱としてその重責を背負っていたが、朝青龍の弟分である日馬富士が、「3度目の正直」で綱を手中にした。

 幕内力士の平均体重が160kgを超えるなか、チェコ出身の隆の山に次ぐ133kgの軽量力士、「小兵横綱」の誕生だ。ちょうど1年前、2度目の綱取り失敗後から、専門トレーナーをつけての筋力トレーニングで、肉体改造に着手した。「パワー(圧力)はスピード×体重だから」と口ぐせのように話す日馬富士は、昇進場所前に5kg増量。持ち前のスピードに、体重増加分のパワーが備わったのが功を奏したようだ。

 かたや、綱を張ってはや5年の白鵬、最近ではその衰えを指摘する声が多い。ここ3場所は優勝賜杯を抱くことなく、5月場所では、横綱として自己ワースト成績の10勝5敗。下位力士に取りこぼす場面もちらほら見受けられ、先の9月場所でも若手の栃煌山に金星を献上し、座布団が土俵に舞った。ある力士がいう。

現役力士や審判を務める親方から上がる、白鵬の動きの衰え。

「つけいる隙が出てきました。出足が鈍くなっている感じなんです。それを横綱も自覚しているのか、立ち合いでの張り差しが多いし、よく見ると仕切りの形も変わった。右足を半歩前にずらして、スタートダッシュするような形で、斜に構えているんですよね」

 審判として土俵を間近でみる、ある親方もこう指摘する。

「ここ最近は、横にいなされると体がぶれ、特に左回りの動きになかなか付いてこられないんだよな」

 ピークを過ぎてしまった感のある「先輩横綱」なのだが、新横綱誕生で心機一転、今後の心理状態や相撲に、どう変化が現れてくるのだろうか。

 一方、故障や調整不足がそのまま相撲に影響するのが、小兵力士の性。連続優勝前の5月場所での日馬富士は、8勝7敗とやっとの勝ち越しで、昇進前からその不安定さを危惧されてもいた。

「負けたら即、引退」――後がないのが横綱という地位でもある。引退という二文字をそれぞれに意識しながら、白鵬と日馬富士は、新たなライバル物語をどのように紡いでいくのだろうか。

関連コラム

関連キーワード
日馬富士
朝青龍
白鵬

ページトップ