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ドーピング講習会が
行なわれる裏事情。
~五輪種目『SUMO』への布石!?~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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posted2012/09/08 08:00

ドーピング講習会が行なわれる裏事情。~五輪種目『SUMO』への布石!?~<Number Web> photograph by KYODO

2008年力士の大麻問題を受け、理事長との会談後に記者会見する委員会の故・大西祥平教授。

「ドーピング検査をするわけでもないのに、講習だけ受けても無駄じゃないのかな」

「ドーピングは、もともとアマチュアスポーツのものなんじゃないの?」

 8月21日、国技館に集った力士や師匠たちは、 怪訝そうに首をかしげていた。この日、日本相撲協会が、昨年12月に続いて2度目のドーピング講習会を開いたのだ。日本医科大千葉北総病院の南和文整形外科部長を講師とし、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が禁じる医薬品などについて、約1時間にわたり講習を受けた力士たち。薬剤師用の「ドーピング防止ガイドブック」が資料として配布され、市販の風邪薬やサプリメント、滋養強壮薬にも禁止成分を含むものがある、などと注意を促された。

 協会は監督官庁である文部科学省の指導もあり、薬物問題対策として「アンチ・ドーピング委員会」を設置していたが、一昨年3月に中心人物の大西祥平教授が死去。その活動は休止状態となっていたが、相撲協会は今年1月から改めて「ドーピング防止委員会」を設置した。国技館内に併設され、力士たちの多くが診察を受ける「相撲診療所」では、禁止薬物を含まない医薬品を処方してもいる。

五輪種目申請に向けたアピールだが、肝心の検査実施は未定。

 だが、肝心のドーピング検査実施については、未定のままなのだという。協会側は「身体に影響のある薬品などについての、あくまでも勉強会のひとつ。いつ検査が導入されてもいいように日頃から知識として持っていましょう、ということ」と説明するのだが、その裏には、こんな実情もあると角界内で囁かれている。

「大相撲界に先駆け、アマチュア相撲の『財団法人日本相撲連盟』は、平成20年6月から『ドーピング防止規程』を掲げ、既にWADA・JADA(日本アンチ・ドーピング機構)に加盟している。近い将来『SUMO』をオリンピック種目として申請するための布石なんですよ」

 プロの競技としての「SUMO」が、唯一存在する日本。独立した無二のプロ組織であるはずの大相撲界においても、その意識を高めていることを、アピールせざるを得ないということのようだ。

「土俵でそんなに緊張するなら、一杯酒を引っ掛けてから相撲を取れ」

 いまだにそんな声も聞く「前時代的」な大相撲界ではあるのだが――。

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