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日本男子の成長を導いた、
“MADE IN JAPAN”の気概。
~国内育成組は錦織を超えるか?~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byMannys Photography

posted2012/09/24 06:00

一流の証であるトップ100圏内にそれぞれランクしている錦織(中央)、添田(右)、伊藤。

一流の証であるトップ100圏内にそれぞれランクしている錦織(中央)、添田(右)、伊藤。

 四大大会でこれほど多くの日本男子の試合が見られる日が来るとは思っていなかった。全米の本戦には4人の日本男子が出場した。全米では1932年以来、80年ぶり、四大大会では5人が出場した'75年全豪以来の快挙だった。

 四大大会にどれだけ選手を送り込めるかで、その国のテニスの勢いが分かる。全米で男子の国別最多は地元アメリカの20人。スペインとフランスがともに12人で続き、日本は4人で9番目につける。

 予選を突破し、四大大会初出場を果たした守屋宏紀は、ランキング100位以内にいる他の3人に刺激されたと言う。

「遅れないようにという思いもあるし、自分もできるのではないかと強く思える」と守屋。相乗効果は当然あったとしても、やはりこれは地道な強化の成果だ。

 錦織圭は13歳で渡米したが、高校総体も経験した添田豪、伊藤竜馬、守屋は国内の育成システムから出た選手達だ。ひと頃、世界で戦うには早くから海外で腕を磨くことが必須と言われた。なぜ国産選手がこれだけ伸びたのか。最大の要因は、竹内映二前デビスカップ監督が中心となって味の素ナショナルトレーニングセンターに強化体制を築いたことだろう。

ボールを数多く打つスペインの「鍛錬型」練習で、体力面を強化。

 特に力を入れたのはフィジカル面の強化だ。味の素NTCで練習を取り仕切るのは、増田健太郎ナショナルコーチ。現役時代、スペインのアカデミーにも在籍した増田は、ボールを数多く打ち、体力的な土台をしっかり築く、スペインの「鍛錬型」の練習を採用した。もちろん、フィジカルトレーニングにも力を入れた。そうして、体格は小柄でも、1試合を戦い抜ける体力を植えつけたのだ。

「味の素NTCができて、『日本から選手を輩出しよう』が合言葉となった。国内では選手は育てられないという声もあったが、質の高い練習をしていけば選手は強くなる。それを添田や伊藤が証明してくれた」

 こう語るのは、日本テニス協会強化本部の村上武資副本部長。海外組に負けるなという「メイド・イン・ジャパン」の気概が男子の高度成長を導いたというわけだ。国内で強化の実績を積めば、ノウハウが蓄積され、次の世代の強化に生きる。今の活況を一過性のもので終わらせないために、国産選手の活躍は大きな意味を持つ。

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