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活気づく女子テニス。
時代の変動を見逃すな!
~東レ・パンパシの熱戦を振り返る~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2012/10/18 06:01

活気づく女子テニス。時代の変動を見逃すな!~東レ・パンパシの熱戦を振り返る~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

今大会を制したペトロワに準決勝で敗退したストーサーだが、多くのファンの心を掴んだ。

 '10年全仏で決勝を戦ったサマンサ・ストーサーとフランチェスカ・スキアボーネの再戦が東レ・パンパシフィックで実現した。ストーサーのスピードとスキアボーネの技巧、両者のガッツが噛み合う期待通りの好試合となった。

 セリーナ・ウィリアムズを除くランキング上位選手が顔をそろえたこの大会。全仏決勝の再戦がセンターコートではなく、1番コートで行なわれたことが顔ぶれの豪華さを物語る。この2回戦で全仏の雪辱を果たしたストーサーは、準々決勝でマリア・シャラポワを下した。人気選手のシャラポワが劣勢になると、観客席から悲鳴が起きた。観客が試合に引き込まれているのがよく分かった。

 ストーサーは準決勝で第17シードのナディア・ペトロワに敗退し、大会はそのペトロワの優勝で幕を閉じた。ストーサーがからんだ2戦など連日、熱戦、接戦が相次いだ。大会関係者は「プレーの質が高かった。それが観客の反応にも表れていた」と話す。

疲れがたまるシーズン終盤も、来季を見据えて貪欲にポイントを。

 シーズンは終盤で疲れのたまる時期だが、選手たちは貪欲だった。アジアを転戦するシリーズでポイントを稼いでおけば、来季の戦いが有利に進められる。女子テニス界は混戦が続いているが、本命不在は、どの選手にとっても飛躍のチャンスがあるという意味だ。30歳のペトロワも、会見で四大大会のタイトルをあきらめていないと語った。

「30歳をすぎて四大大会を制した選手もいるのだから、それを成し遂げる前にテニスをやめようとは思っていません。私は毎朝、自分の意欲を実感するし、コートに立てば、向上しようといつもトライしています」

 こうした勝利への意志、個々の目的意識が連日の熱戦につながったのだ。

 次に女王の椅子に座る選手はまだ定まらない。混戦は混戦だが、中身は以前と異なる。ビクトリア・アザレンカがセリーナと優勝を争った全米、そして、この東レPPOで上位選手の充実ぶりが実感できた。どんぐりの背比べではなく、高いレベルでのデッドヒートが始まったのだ。女子テニスは今、息を吹き返そうとしている。「シャラポワ以外、名前を知っている選手がいない」などと知らんぷりを決め込んでいたら、時代の変動を見逃してしまうだろう。

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