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船木の王座奪回でも続く、
全日本ヘビー級の危機。
~9・23、諏訪魔と因縁の初防衛戦~ 

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門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/09/22 08:00

船木の王座奪回でも続く、全日本ヘビー級の危機。~9・23、諏訪魔と因縁の初防衛戦~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

3冠戦史上最短試合時間12分12秒を大幅に更新、流出していた至宝の奪回に成功した船木。

 8月26日、リニューアルされたばかりの東京・大田区総合体育館(旧大田区体育館)。船木誠勝が、全日本の創立40周年記念大会3冠ヘビー級決戦でノア所属の王者秋山準を4分37秒(3冠戦史上最短タイム)で撃破した。

 秋山のV5を阻止し、同ベルトを10カ月ぶりに全日本に奪回。'85年3月に新日本でデビューした船木は、28年目にして、プロレスの初シングル王座を獲得した。

 総合格闘技の経験を生かした船木の速攻は見事だった。秋山の後頭部に右ハイキックを叩き込み、すかさず新兵器のハイブリッド・ブラスター(腕固め式脳天杭打ち)を見舞ってトドメを刺した。

 '89年4月18日、故ジャンボ鶴田がスタン・ハンセンを破ってインター、UN、PWFの3本のベルトを統一し、初代3冠王者になった由緒ある会場での王座奪還は、歴史的にそれなりの評価は出来る。

 とはいえ、全日本の未来を見据えた場合、この王者交代劇を手放しでは喜べないのが現状だ。船木の次期挑戦者は、元王者の諏訪魔が名乗りを挙げ、9月23日横浜文化体育館での初防衛戦が決まった。2人は今年1月3日の後楽園ホールでエース論争を起こし、船木が諏訪魔を「お前じゃ、エースは無理だ」とこき下ろしたことがあった。しかし、それは新王者に突きつけられた課題でもある。

90kgに満たない船木では、大型外国人選手をぶつけられず……。

 43歳の船木の体重は90kgにも満たず、歴代王者のなかで最も軽い。年齢的にも体格的にも全日本の41年目を託すにはあまりにも非力だ。不安材料だけが目につき、短命王者としか映らない。

 仮に、船木が諏訪魔を破って初防衛に成功したとしても、次の対戦相手に苦慮するはずだ。今の船木では、大型の外国人選手をぶつけられない。思い切ったカードを組めなければ、即観客動員に響く。

 さりとて、諏訪魔が王座に返り咲いたとしても、彼に続く若い世代が伸びてきていない。次期エース候補と期待された真田聖也は、8・26大田区大会でジョー・ドーリングに叩き潰されたばかり。大型のホープ河野真幸はけがが多い。頼りになるのはチャンピオン・カーニバル優勝のベテラン太陽ケアしかいない。

 今大会でヘビー級の人材不足が浮き彫りになった武藤・全日本。現状打破には若手、中堅の発奮以外にない。9・23横浜大会以後のトップ争いに注目したい。

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