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陸上人生のハイライトをロンドンで!
攻めの走りに見る福士加代子の矜持。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2012/07/20 10:31

陸上人生のハイライトをロンドンで!攻めの走りに見る福士加代子の矜持。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本女子長距離種目でのオリンピック3大会連続出場は、弘山晴美と並び史上2人目の快挙。ロンドンでは、福士らしい笑顔を見せてくれるのか。

 日本陸上女子の長距離種目の第一人者と言えば、福士加代子をおいてほかにない。

 日本選手権の5000、10000mで初めて優勝したのは、高校を卒業してワコールに進み、3年目の2002年のことだ。

 高校時代は、全国大会に出場した経験はあっても、さほど目立った成績は残していなかったこともあって、その急成長ぶりに、注目が集まることとなった。以後、日本選手権で、10000mは'02年から'07年までの6連覇を含め7度優勝。5000mは計6度優勝している。

 国際大会でも、日本のエースとして出場し続けてきた。世界選手権には'03、'05、'07、'09年と計4度出場。'09年の10000mで9位の成績を残している。そしてオリンピックにはアテネ(10000mで26位)、北京(5000m予選落ち、10000mは11位)に出場した。

いつも明るく振る舞う福士が、アテネ五輪で流した悔し涙。

 福士の存在感は、こうした成績によるものばかりではない。試合後のコメントも独特なものがある。

 例えば、'08年の北京に続き、マラソンでの五輪代表を目指して参加した今年1月の大阪国際女子マラソンでの言葉だ。

 中盤過ぎ、並走していた重友梨佐がスパートすると置いて行かれ、失速して9位に終わった。取材陣の前に姿を見せると、「ただいま帰りました」とおどけた。

 どのような結果に終わっても、悔いを露わにすることなく、さばさばと振り返り、明るい表情を崩そうとしない。冗談を交えることもある。それが福士特有のキャラクターとなっている。

 その福士が、涙を流したことがある。

 アテネ五輪の10000mで26位に終わったあとだ。

 このとき、レース直前の故障が原因で、本来のそれとはほど遠い走りしかできなかった。自己記録より3分以上遅れ、日本から出場した3選手の中でも最下位という結果に、福士はただ涙を流した。

 常に明るく振舞っていても、心の中にある思いが感じられた一瞬だった。

【次ページ】 積極的なレース運びは第一人者であることの矜持。

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