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48年ぶり出場の陸上女子400mリレー。
決勝進出の鍵、16歳土井杏南の存在。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2012/07/18 10:30

48年ぶり出場の陸上女子400mリレー。決勝進出の鍵、16歳土井杏南の存在。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本選手権、女子100mで決勝進出を決めた土井杏南。決勝ではスタートで福島千里を引き離して70m付近までトップに立ち続け、最終的に2位となった。

 7月3日、国際陸上競技連盟から、ロンドン五輪のリレー種目の出場権を得た国が発表になった。

 昨年の1月から今年の7月2日までの間に記録された、トップと2番目のタイムを合計し、上位16カ国が出場できる仕組みだ。

 日本は、男子が4×100mリレーと4×400mリレー、女子は4×100mリレーと、3つの出場権を得ることができた。

 この中でも、注目は1964年の東京五輪以来、実に48年ぶりの出場となる女子4×100mリレーである。日本陸上界が一体となっての強化あってこそのロンドン行きである。

 陸上短距離は、どうしても世界の壁が厚く、特に女子は長年にわたり、跳ね返されてきた。

 だが、2008年、北京五輪の100mに、福島千里が日本女子では56年ぶりの出場を果たしたことで流れが変わった。オリンピックが手の届かない場所ではないことを感じたことで、福島に続くように若い選手たちが成長したのだ。

日本新記録は樹立したものの、五輪での決勝進出は……。

 そこで現実味を帯びてきたのが、リレーでの五輪出場だった。

 北京五輪では、日本は18位で出場権を逃した。しかし、若手選手の台頭を考慮すれば、16位以内は不可能ではない……。そう考えた日本陸上競技連盟は、北京五輪のあと、所属先の垣根を越えて短距離の有望選手を集め、合同合宿を北海道や沖縄で実施。個々のレベルアップを図るほか、バトンパスの練習や選手間の目的意識の共有など、リレーへ向けた強化に取り組んできた。

 その成果が表れたのが、昨年5月に樹立した43秒39の日本新記録である。

 このタイムと、やはり同月にマークしたアジア・グランプリでの43秒65の合計で13位となることができたのである。

 こうしてオリンピック出場を決めた日本女子だが、目標として掲げているのは、本大会での決勝進出なのである。

【次ページ】 高校2年生・土井杏南の若き力が起爆剤になるか?

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