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史上初の2団体王座統一戦、
“大穴”は下馬評を覆せるか。
~井岡一翔vs八重樫東戦プレビュー~ 

text by

渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

PROFILE

photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2012/06/19 06:00

ホーム大阪で戦う井岡(右)に対し、八重樫には敵地の重圧もかかる。

ホーム大阪で戦う井岡(右)に対し、八重樫には敵地の重圧もかかる。

 世界王者vs.世界王者。

 6月20日、ボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で行なわれるボクシングの世界タイトルマッチは、従来の世界戦とはひと味もふた味も違う。決戦の舞台に上がるのは、WBC世界ミニマム級チャンピオンの井岡一翔(井岡)とWBA同級王者の八重樫東(大橋)。別団体の日本人世界王者が王座統一戦を戦うのは、史上初めてのことだ。

 この両者、一般に馴染みが深いとすれば井岡だろう。元世界チャンピオンの井岡弘樹会長を叔父に持ち、日本最速記録となるプロ7戦目で世界タイトルを奪取。2度の防衛戦も難なくクリアした23歳はスター街道をひた走るサラブレッドである。

 統一戦の開催が発表された4月の記者会見でも、存在感を大いに発揮したのは井岡だった。

「主役は自分。日本ボクシング界に新たな歴史を刻みます」

 その後も「相手が何をしても無駄な抵抗」「白熱の好勝負という期待を裏切る(完勝する)」など、専門誌上で過激な発言を連発して前哨戦をリード。井岡にとっては統一戦といえどもスーパースターへのステップに過ぎないというわけだ。

「脇役」を自認する八重樫の試練のボクシング人生。

「脇役」を自認する29歳の八重樫は試練のボクシング人生を歩んだ。7戦目でイーグル京和にアタックした世界戦はアゴの骨を砕かれて惨敗。日本タイトルからの出直しを余儀なくされ、世界初挑戦から4年かかってようやく頂点にたどりついた。

 関係者の予想はズバリ「井岡有利」に大きく傾く。井岡は単に無敗というだけでなく、その実力は玄人筋からも評価が高い。無駄のない動きとシャープなパンチ。駆け引きや試合運びにも長け、ここぞという場面を逃さない勝負勘も抜群だ。

 ではこの試合、大方の予想通りに終わるのかと言えば、そう簡単にいかないのがボクシングである。

 八重樫は身体能力が高く、躍動感あふれるファイトを身上としている。魂を削り合うような打撃戦をするかと思えば、スピードを生かして相手を揺さぶる術も知っている。井岡の緻密さに比べると粗さは否めないが、決して引き出しの少ないチャンピオンではない。

 ともに臨機応変にボクシングを組み立てられるタイプだけに、試合のシミュレーションは極めて困難だ。息詰まるような駆け引きの応酬が繰り広げられるかもしれないし、スタートから闘志むき出しの打撃戦に突入する可能性もある。

<次ページへ続く>

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