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異色の采配を的中させる、
スパーズHCの深謀遠慮。
~プレーオフでNBAの常識を壊す!?~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2012/04/22 08:01

異色の采配を的中させる、スパーズHCの深謀遠慮。~プレーオフでNBAの常識を壊す!?~<Number Web> photograph by Getty Images

 サンアントニオ・スパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチは若い頃、空軍士官としてロシアにいたことがある。本人は認めないが、アメリカ軍のスパイだったらしい。だからなのか、なかなかの策士である。

 たとえば、4月頭にシーズン2度目の11連勝を記録した次の試合のこと。勝てば12連勝となるユタへの遠征に、ポポビッチはチームの中心選手3人、ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリを連れて行かなかった。主力を欠いたスパーズはジャズを相手に接戦を落とし、連勝は11で止まった。実は2月にも同じように11連勝後の試合で3人を休ませ、連勝を止めている。

 この2試合は極端な例だが、実のところ、ポポビッチはシーズンを通して選手を交代で休ませている。4月10日現在、チームで全試合に出場したのは1選手のみ。平均出場時間も一番長いパーカーでも33.3分と少なく、10選手が20分以上というバランスのいい配分だ。

「これまでで最も選手層が厚い」(ダンカン)

 ポポビッチがこのような作戦をとる理由のひとつには、去年の苦い経験があった。西カンファレンス最高の成績で第1シードを獲得したものの、レギュラーシーズン最終戦でジノビリが肘を痛めたこともあり、プレイオフは1回戦で第8シードのメンフィス・グリズリーズに敗れたのだった。

 レギュラーシーズン中にどれだけ勝っても、健康でなければ意味がない。それが1年前の経験から得た教訓だった。特に今シーズンはロックアウトの影響で過密スケジュールが組まれているだけに、選手をいかに休ませるかが成功の鍵だと判断したわけだ。

 中心選手を休ませながら2度も11連勝し、リーグ上位の成績をキープしているのは、それだけ選手層が厚いからだ。若手陣が予想以上に成長しているほか、シーズン半ばのトレードやフリーエージェントでの補強も成功し、まさに穴のないチームになった。スパーズ歴15シーズン目のダンカンが「これまでで最も選手層が厚い」と言うほどだ。

 ちなみに、試合間隔があくプレーオフでは、起用する選手を減らし、中心選手に頼るというのがNBAの常識だ。果たしてポポビッチはこの常識を壊すのか。プレーオフでの采配に注目だ。

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