都内の大規模な霊園の多くが桜の名所である理由。

　この翌日、私は青山霊園に行ってみた。

　青山霊園も、いわば桜の名所といえる。

　墓地の真ん中を突っ切る都道413号線など、どこにも負けない桜のトンネルができる。

　満開の翌日、桜はもう散り始めていた。足下には花びらの絨毯ができている。

　花吹雪の向こうに見える数々の墓石、そして様々なビル群。中には六本木ヒルズも見える。

　ここだけに限らない。多磨霊園にしても、谷中墓地にしても、都内の大規模な霊園は、みな桜の名所でもある。墓地に桜は本気でよく似合う。それは桜が人に「死」というものを直截に感じさせてくれるからだろう。

　そして「生きていること」の美しさと儚さを、もっとも分かりやすく教えてくれるからなのだ。