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村田、杉内らの大型補強で強いはず!?
巨人の戦力データ分析で意外な結果。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/03/12 10:31

村田、杉内らの大型補強で強いはず!?巨人の戦力データ分析で意外な結果。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

桑田真澄氏が21年間背負った背番号18を受け継いだ杉内。オープン戦でも好投を見せ、巨人の新エースとして存在感を増しつつある。

過去の交流戦同様のピッチングができれば成功は確実。

'05年 4勝2敗、防御率2.02/49回、34安打、7四球、56三振
'06年 1勝2敗、防御率5.50/34.1回、39安打、17四球、2死球、28三振
'07年 3勝1敗、防御率1.85/43.2回、33安打、5四球、4死球、50三振
'08年 2勝1敗、防御率1.45/43.1回、31安打、6四球、48三振
'09年 3勝0敗、防御率1.23/44回、32安打、13四球、2死球、36三振
'10年 2勝1敗、防御率4.60/31.1回、34安打、8四球、3死球、36三振
'11年 3勝0敗、防御率1.95/37回、22安打、12四球、42三振

 交流戦の通算成績は、18勝7敗、防御率2.48で、さらにその内容は、282回3分の2を投げ、被安打225、与四球68、与死球11、奪三振296と圧倒的だった(奪三振率9.42、与四死球率2.52)。ちなみに、昨年の日本シリーズ、中日戦の成績は次の通りである。

<1勝0敗、防御率0.61/14.2回、8安打、4四球、13三振>

 交流戦と同様に高い奪三振率と低い与四死球率の対比が見事である。セ・リーグの打者は杉内をどう見ていたのだろう。2月27日付日刊スポーツの「清原和博の直撃 気になる男たち」の中で、金本知憲(阪神)が面白いことを言っているので紹介する。

 金本 巨人いいですか?

 清原 どう考えてもいいやろ。

 金本 でも補強は杉内1枚じゃないですか。

 清原 19勝したホールトンも加わった。

 金本 ホールトンはそんなに嫌なタイプでもない。やっぱり杉内でしょうね。村田にしても、ラミレスとチェンジじゃないですか。そう考えたら、やっぱり杉内1枚かなと。

 交流戦では'05年=打率.393、'08年=打率.407と、勝負強いバッティングでパ・リーグの投手を攻略してきた金本の言葉だけに重みがある。

三振の山を築く「脱力」の投球術に攻略法はあるか?

 現在、多くの投手がテーマに掲げる「脱力」を具体的に形にして見せ、140キロ前後のストレートとスライダー、チェンジアップで三振を取りまくるピッチングスタイルは、若手投手の見本と言ってもよく、この杉内をどのように攻略するのか各球団のフロントは頭を悩ましていることだろう。

 スキというほどの弱点は見当たらないが、悪くなるときの兆候は記録から見える。成績が悪かった'06、'10年を見ると、与四死球が多いのだ。

<'06年=与四死球率4.98、'10年=与四死球率3.16>

 コントロールをかく乱するという“積極的攻略”ではなく、コントロールが安定しないのを見て、早めに「今日は調子がよくない」と見極め、戦術を組み立てるという“消極的攻略法”は立てられる。7年間の交流戦を見る限り、杉内攻略はそれくらいしか考えられない。

【次ページ】 充実の先発と手薄なリリーフの落差が巨人の弱点だ。

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