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クリスマス開幕に至った
“黒い金曜日”的な譲歩。
~NBA争議が解決に至った理由~ 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2011/12/12 06:00

クリスマス開幕に至った“黒い金曜日”的な譲歩。~NBA争議が解決に至った理由~<Number Web> photograph by Getty Images

 アメリカでは、感謝祭翌日の金曜日を“ブラックフライデー”と呼ぶ。本格的なクリスマス商戦が始まる日で、一説には多くの小売店の経営がこの日の売り上げで黒字になることに由来した名だという。クリスマス前に安い買い物ができた客にとっても、売り上げを伸ばした店にとっても嬉しい一日だ。

 今年のブラックフライデー、11月25日はNBAファンにとっても嬉しい日となった。NBAオーナーと選手がロックアウト解除に向けて暫定合意に達したのだ。厳密には、15時間に及ぶ話し合いの末に両者が合意に達した時には日付けは変わって土曜日になっていたし、正式なロックアウト解除のためには、さらに手続きを踏む必要があるのだが、この際、そういった細かいことはどうでもいい。大事なのは、コミッショナーのデビッド・スターンが、「12月25日にNBAシーズンを開幕することができるだろう」と宣言したことなのだ。

クリスマス開幕のために、最後のところで要求を緩めたオーナー側。

 11月14日に交渉決裂し、一時はシーズン消滅の危機に直面していたNBAが、一転クリスマス開幕となったのにはいくつかの理由がある。その一つが、オーナーたちがクリスマスの全米中継試合を中止したくなかったことだ。そのためには準備期間を含めて1カ月前までに合意に達する必要があった。

 リーグがABCら全米中継テレビ局から得る放映権料は年間9億3000万ドル、リーグ全収入の4分の1近い額に上る。金だけの問題ではない。家族が集うクリスマスにロックアウトで試合がないとなると、リーグのイメージも大打撃だ。一部オーナーが「クリスマス過ぎまでロックアウトを続けるなら、シーズンを行なう価値はない」と主張したのだという。

 ロックアウト開始から強硬な姿勢を崩さず、選手から総額約3億ドルのサラリー減額の譲歩を引き出し、さらに制度面での大改革も求めていたオーナー側だったが、クリスマス開幕のために最後のところで制度に関する要求を緩めた。

「ファンのため、試合をしたい選手のため、そしてNBAに家計を頼る人々のために和解した」とスターンは言う。

 それぞれ譲り合うことで、皆が幸せになり、懐も暖かくなる。149日続いた争議は、こうしてブラックフライデー的な解決でようやく終止符を打った。

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