オフサイド・トリップBACK NUMBER
テベスの次は誰か? マンUとマンCを
完成させる「最後の更迭人事」。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byGetty Images
posted2011/11/20 08:02
「私の指揮下ではテベスは決してプレーしないだろう」と語ったマンチーニ監督。テベスの方は、マンチーニとチームの扱いに対して名誉棄損や契約義務違反で訴える準備があると言われている
唯我独尊のテベスに振りまわされるマンCとマンチーニ。
他方、プレミアの首位を独走し続けるマンCでは、あいも変わらずテベスの行動が波紋を呼んでいる。事件の顛末についてはあえて詳説しないが、今回、一番よく引き合いに出されたのは、「一人の選手が、クラブ以上に重要な存在になってはならない」というフレーズだった。
今回の場合、この言葉には一般的に考えられている以上に深い意味が込められている。テベスという選手には、「所有権問題」がずっとつきまとっていたからだ。
テベスはボカジュニアーズからコリンチャンス、そしてウェストハム、マンU、マンCと渡り歩いてきたが、コリンチャンス時代から選手の保有権はクラブ側が持つのではなく、エージェントが保有するというきわめて特異な形になっていた(現在は禁止)。
テベスもマンCもお互いに手詰まりになりつつある現状。
テベスがミュンヘンで謀反を起こした際に、マンCのみならずプレミアの関係者が「第三者による選手保有」の問題=クラブの絶対的な主権がエージェントや選手によって脅かされる危険性について、再び思いを馳せたであろうことは想像に難くない。
しかもテベスはテベスで、我が道を行くやりかたを絶対に改めようとはしない。一応、マンチーニに謝罪はしたものの、その後もアルゼンチンに無断帰国、クラブの呼び出しにも応じないとなれば、マンCとマンチーニは二度にわたってメンツを潰された形になる。
だがチーム自体は目下絶好調。急転直下、テベスがしおらしく謝罪しひとまず残留することになったとしても、1月に放出されるのは避けられないような気がする。
ではテベスの放出は、マンCを完成させるための「最後の一手」になるのだろうか? 残念ながら現地メディアの中には、異なる見方をする者もいる。