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CLで躍進の伏兵は
島国キプロスの誇りに。
~グループ首位の反響~ 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byAP/AFLO

posted2011/11/23 08:01

CLで躍進の伏兵は島国キプロスの誇りに。~グループ首位の反響~<Number Web> photograph by AP/AFLO

 地中海の隅に浮かぶキプロス島で、ちょっとしたサッカーブームが起きている。首都ニコシアのクラブ、アポエル・ニコシアがチャンピオンズリーグで予想外の躍進を見せているからだ。

 ポルト、ゼニト、シャフタール、アポエルが集ったグループGは当初、「3強1弱」の構図になると言われていた。しかし第4節を終え首位に立っているのは、この小さな島国のクラブだ。

 チームに輝かしいタレントはいない。試合の主導権は相手に譲り、ボールポゼッションも平均44%と低い。しかし、かつてチェルシーでジョゼ・モウリーニョも評価した守備的MFヌーノ・モライスらを中心に、堅守速攻という大崩れしないサッカーで勝ち点を積み上げてきた。

 ニコシアの目抜き通りを歩くと、アポエルファンの熱を感じることができる。リドラス通りのバルやレストランでは、アウェーで貴重な勝ち点1を奪ったポルト戦の録画放送がテレビで何度も流され、ファンは愛するチームが一番上に位置する順位表に酔いしれている。

危機に瀕する経済状況のなかでサッカーが果たす役割。

 地元の日刊紙『サイプラス・メール』のスティリアノウ記者は、「グループが決まった時には誰も期待していなかっただけに、喜びも大きいのでは」と語る。

 人々はアポエルの活躍に沸き、アウェーのポルト戦には1500人ものサポーターが、欧州の端から端まで、飛行機を乗り継ぎ駆けつけた。

 キプロス人たちのこれほどの盛り上がりには、停滞する島の経済も関係しているだろう。彼らは経済的な鬱憤をサッカーで晴らそうとしている様にも見える。

 キプロス経済は現在、ギリシャと同じく危機に瀕している。キプロスは国民の8割がギリシャ系と、経済的、文化的にも近い。同国の銀行はギリシャ関連のリスクが高い資産を保有しており、隣国と共倒れの危険性も指摘されるほどだ。

 アポエルのヨバノビッチ監督は、ホームでのポルト戦の後にこう語っている。

「この勝ち点8は、我々アポエルだけでなく、キプロス全体にとっても非常に大きなものだ」 アポエルが同国史上初のCL決勝トーナメント進出を決めれば、さらに多くの人がアウェーの試合に駆けつけるだろう。強豪が集うなかで奮闘するアポエルの存在は、キプロス人の誇りでもあるのだ。

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